サヘル・ローズ「重要なことを報じてほしい」

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サヘル:報じ方にも問題を感じるようになりました。「続報がない尻切れトンボの報道」が本当に多いんです。たとえばテロなどが起きた際、最初のインパクトのある見出しがずっと繰り返し報じられ、続報につながっていかない。テレビを見ていていつもそう思います。どこかでは続報をやっているだろうと思ってほかの局のニュースを見ても、同じ内容ばかりのことが多い。

翌日になったら続報を出すのかといえばそうではない。まったく違う新しいネタが出てきたら、すぐに話題をシフトチェンジしてしまう。「じゃあその後にどうなったの? 前のはどうなったの?」っていう疑問への答えが報じられないまま、消化不良のまま次から次へと進んでいってしまう。

これっておかしくないですか。情報として「こういうことが起きたんだ」っていうことは知るけれども、なぜ起きたのか、どのように発生したのか、という根っこの部分を知らないまま次の情報がやってくるから、そういうところへの関心がなくなってしまうわけです。いちばん大事なことは、「何があったのか」ではなく、「その後どうなったのか」だと思うんです。

山田:具体的なものがありますか。

サヘル:7月にはイラク第2の都市であるモスルがISの支配から解放されました。「解放された」という事実については報道されましたが、その後、どういう問題が起きているかが続きませんでした。あそこはシーア派、スンニ派とクルド側が分裂していて、それぞれが自分たちの人権、居場所を求めて対立しています。選挙が行われますが、解放後の今こそ、まさに問題は続いているんです。でも解放された、というインパクトのある情報が出たことによって、いったんこの問題は終わったと考えている人が多いように思います。解放後は、イラクの国内問題がほとんど報道されなくなってしまったが、きちんと伝えるべきではないでしょうか。

「ほかの人任せ」から卒業したい

山田:メディアにも事情があります。「重要なニュースであることはわかっている。でも、ほとんどの読者が関心を持たないのではないか」と考えてしまうのです。どうしても、多くの人が関心を持ちそうな部分、刺激的な部分を切り取っていく。悪く言えば、易(やす)きに流れているわけです。しかし、それは大問題。「読まれなくても重要なこと」は信念をもって取材をし、報じていく必要がありますね。

サヘル:ニュース報道に対する私の友人たちの反応は、似ています。テレビ番組を見ながら愚痴を言うことが多い。「みんな同じことしか言わない」とか「日本のメディアって本質を報じていない」とか。

山田:そうした声をもっともっと聞きたい。ぜひ、「私たちは本当はこれが見たいんだ!」と発信してください。多くの人がそういう声を上げるようになってほしいです。

サヘル:確かに、今のメディアを変えていくために声を上げる人たちがもうちょっといたらいいのかもしれません。でも、「ほかの人が言ってくれるからいいや」っていう具合に、人任せになってしまっている。政治や選挙と一緒かもしれません。この「ほかの人任せ」から卒業したいですね。

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