「9月の嵐」は今年もマーケットを襲うのか?

マーケットは準備万端

テーパリング

モルガン・スタンレーのストラテジストチームは、おそらく織り込まれたと考えている。同社の推計によると、急落した多くの新興国債券市場は、10年物米国債利回りが現在より約30ベーシスポイント(bp)高い3.2%に達したことを織り込む水準だ。

米国、英国、ユーロ圏、日本が、新興諸国は「世界経済をけん引する」と想定している上、中国の景気減速についての懸念も後退した今、投資家は既に今月の相場波乱を十分覚悟しているとモルガンは感じている。

モルガンのチーフ・グローバル・エコノミスト、ヨアヒム・フェルズ氏は「市場は以前よりずっと片付いており、4、5月のような慢心は見られない。過去1、2週間、当社の大手顧客の間でリスク志向の復活が観察された。しかしこれは、今年の早い段階に見られたような『裸の』買いとは違う」と述べた。

ドイツ銀行のグループ・チーフ・エコノミスト、デービッド・フォルカーツ・ランダウ氏も9月は乗り切れると見ており、顧客に対して3日、先進国経済の回復を信じ続けるよう告げた。「一連のイベントがシステミックな脅威をもたらすとは予想しておらず、『9月のじたばた』は短命に終わるだろう」という。

アセットマネジャー自体の間では、大規模な波乱の可能性を疑うものはほとんどいない。しかしそれは確率の低いリスクシナリオに過ぎない。

FRBが予想通りに動くなら、ショック要因とはなりにくい。連邦債務上限をめぐる対立は騒がしいだろうが、大抵は土壇場になって解決される。ユーロ圏にはもちろん未解決の問題が残っているが、圏内全体の状況を一変させるほどの影響はない。シリアを取り巻く地域紛争の拡大は状況の再考を迫ろうが、今のところ最も可能性が高いのは、せいぜい米主導の限定的なシリア攻撃だ。

その上、先進国の実質短期金利が大幅なマイナスで、経済が全般に回復を続ける中で、ファンドマネジャーが高水準のキャッシュ比率を維持することは内在的に不安定だ。しかも、かつては「安全」だったソブリン債は、この局面では居心地の良い逃避先とは程遠くなっている。

シグマ・インベストメント・マネジメントのトム・ベケット最高投資責任者は「金利が過去最低水準の時に高いキャッシュ比率を維持するのは非常に注意を要する」と指摘。「われわれは今後数カ月間、このキャッシュの良い投資先を積極的に模索していく」と述べ、新興国資産と欧州株の買い増しを検討していると付け加えた。

9月は株価にとって歴史上最悪の月かもしれないが、10、11、12月は過去85年間の平均がいずれもプラスとなっている。

(Mike Dolan記者)

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