「9月の嵐」は今年もマーケットを襲うのか? マーケットは準備万端
[ロンドン 4日 ロイター] - 投資家は何カ月も前から9月の嵐に備えてきたため、米連邦準備理事会(FRB)による資産買い入れの縮小といった突風で吹き飛ばされてしまう心配はなさそうだ。
9月は歴史的に米国株にとって最悪の月で、1928年以来、月間平均1.1%下落している。今年も荒れるのは確実とみられ、今さら意表を突かれる人がいるとは思えない。
この春にざっとイベントカレンダーに目を通しただけでも、9月に訪れそうな状況はかなり予想できたはずだ。
しかも1年半続いたFRBの資産買い入れプログラム(量的緩和)の縮小第一弾に向けて、市場は数カ月前から態勢を整えてきた。米量的緩和に翻弄されてきた新興国市場は急激な調整を経験した。連邦公開市場委員会(FOMC)の4日後に行われるドイツ総選挙が終われば、ギリシャ救済資金の手当てといった未解決のユーロ圏問題が政策議題として戻ってくるだろう。
米政府はデフォルト(債務不履行)を避けるため、10月半ばまでに連邦債務上限を引き上げる必要があり、9月は財政をめぐる論争も再燃しそうだ。加えて先月には、米主導による対シリア軍事攻撃の可能性が急浮上し、中東地域の安定と世界のエネルギー価格への影響が懸念されるようになった。
しかし数週間前から各種イベントの結果に思いをめぐらし、起債や株式発行を延期し、ヘッジ取引やポートフォリオの分散を進めてきた市場に、まだ不意を突かれる投資家が残っているだろうか。相場にはかなり織り込まれているのではないか。
インプライド・ボラティリティ指標は跳ね上がったが、米国株の場合は20%を下回り、6月の水準に戻ったに過ぎない。長期平均をわずかに上回る程度だ。
その上、トルコ株やインドルピーなど、急落した一握りの新興国市場と通貨を除けば、大半の主要株式・債券市場は過去2週間で3%未満しか下落していない。
もっとも、8月に相場の不安定化が限られた背景には、FRBが初めて「テーパリング(資産買い入れ縮小)」に言及した5月以来、世界市場がずっと大きな調整を終えていたことがある。
この動きを最も良く表しているのは、投資ファンドの8月のキャッシュ保有比率が過去1年間の最高水準に上昇したことかもしれない。これはロイターの資産配分調査で明らかになった。
調整はこれで十分だろうか。最大の問題は、FRBの動きが相場に織り込まれてしまったかどうかだ。