東芝、メモリ子会社を日米韓連合に売却へ WDは土壇場の交渉で東芝と決裂

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 9月20日、東芝は取締役会で、半導体子会社「東芝メモリ(TMC)」を、米系ファンドのべイン・キャピタルと韓国半導体大手SKハイニックスを中核とする「日米韓連合」への売却を決議した。写真は東芝のロゴ。都内で1月撮影(2017年 ロイター/Toru Hanai)

[東京 20日 ロイター] - 東芝<6502.T>は20日開いた取締役会で、半導体子会社「東芝メモリ(TMC)」を、米系ファンドのべイン・キャピタルと韓国半導体大手SKハイニックス<000660.KS>を中核とする「日米韓連合」への売却を決議した。午後に正式発表する。米ウエスタンデジタル(WD)<WDC.O>は、土壇場の交渉で東芝と決裂した。複数の関係筋が明らかにした。

関係者によると、東芝は21日に再び取締役会を開きベイン・SK陣営との契約について決議し、同陣営と契約する見通しだ。

TMCの買収でべイン・SK陣営と競合していたWDは、交渉の最終段階で、将来のTMCの議決権保有に関する東芝側の要求を拒んだという。

19日の段階でWDは、TMCの議決権保有を全面的に放棄し、産業革新機構(INCJ)と米系ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)<KKR.N>、日本政策投資銀行(DBJ)で構成する新「日米連合」が約2兆円の提案を行った。べイン・SK連合との競合は、両陣営のリードが二転、三転するデッドヒートを経て、ゴール直前でWD側はべイン・SK連合に対して再び優位に立った。

ただ、「議決権の全面的な放棄」というWD側の提案が、どの程度の期間まで効力が及ぶのかなどについて東芝とWDとの間で折り合いがつかなかったと、交渉関係者は明らかにする。

6月にいったんは優先交渉先に選ばれたべイン・SK連合を中核とする日米韓連合の買収スキームは、当初、INCJとDBJが加わる予定だった。

ただ、WDが今年5月、同意のないTMCの売却に反対し、国際商業会議所の国際仲裁裁判所に売却差し止めを申請。WDの主張が仲裁裁判所に認められた場合TMCの買収が無効になるリスクを敬遠して、INCJとDBJが東芝に対し最終契約はできないと主張し、交渉はストップしていた。

このためベインとSK陣営は、WDとの係争が決着するまでの間、INCJとDBJが出資を見送り、代わりに米アップル<AAPL.O>など米IT有力企業が6000億円近い資金拠出するスキームを東芝側に提案。前週13日にはベイン・SK陣営との交渉を加速する覚書を交わした。

別の関係者によると、土壇場における東芝とWDとの交渉不調を懸念した経済産業省の担当者が、20日未明の段階でべイン・SK陣営側にTMCの買収条件について一段の譲歩を求めるなど、2兆円規模の買収劇を巡る攻防は、ぎりぎりの段階で急転直下する展開となった。

(布施太郎、浜田健太郎)

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