「特売品」で損する人が知らない値札の読み方 不利益防ぐユニットプライス制に存亡の危機
そして2つ目の効用は、「隠れ値上げ」を見破ることができる点だ。一例を紹介しよう。食品メーカーの明治は、2015年7月に、14品目で容量を2~12%減量した。つまり実質の値上げである。「明治おいしい牛乳」の場合は、一部の地域から先行して、2016年9月に容器をリニューアルした際、容量を1000mlから900mlに減らしたのだ。
【9月25日11時30分追記】記事初出時、明治おいしい牛乳について「2016年9月に容器をリニューアルした際、容量を1000mlから900mlに減らしたのだ」と記述しましたが、現時点において、容量900mlの商品は関西、中国、四国、九州、一部のネット通販のみの展開であり、読者への誤解を招きかねないことから「一部の地域で先行して」という記述を追加いたしました。
このとき、ネット上では多くの消費者が、「容量が減ったことを知らずに買ってしまった」と不満をあらわにしていた。
実際、筆者もリニューアル後の商品を「安い」と勘違いして買ってしまった。いつもは200円を切らない商品が199円で売られていたことに加え、「地域最安値に挑戦」「安い」のポップに思わず飛びついてしまったのだ。しかし、ユニットプライスは、1000mlのときより若干高くなっていたのだ。つまり、「安い」と書くこと自体が本来おかしいのだ。
こうした「特価または価格据え置き(実は容量減)」という値上げは、明治に限らずよく行われているが、消費者の買い物の現場ではなかなか気づきにくい。日頃から単価を意識して買い物をしていると、価格変動にすぐ気づくことができるという点で、ユニットプライスは一定のバロメーター機能を果たす。
各自治体で続々廃止のユニットプライス
消費者を不当な値付けから守るユニットプライスだが、実は現在、各自治体で廃止の危機にさらされている。
精肉を買う時に100g当たりのユニットプライスが必ず表示されているが、これは「食肉の表示に関する公正競争規約」によってルールが定められているためだ。一方で、他の食品や日用雑貨品のユニットプライスを運用するのは、各自治体。昭和50年代に消費者団体が法制化を訴え、一度は経済企画庁(当時)によって検討がされたものの、事業者の負担が懸念されて実現しなかった。
そのかわり、国は地方自治体に通知を出し、取り組みを地域に委ねたという経緯がある。その結果、①制度の有無、②対象となる店の規模、③対象となる品目には大きな地域格差が見られるようになってしまった。そして、当初40近い都道府県で制度化されたものの、その後次々と廃止され、いまや制度化している自治体は20を切る。
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