日本経済は、スタグフレーションに突入へ 異次元金融緩和政策の空回りは続いている

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残高の対前月増加額で見た状況は、下図のとおりだ。この図に示されているように、マネーストックの対前月増加額は、マネタリーベースの増加額に追いついていない。

残高増加額について、マネーストック(M3)のマネタリーベースに対する比率を見ると、1前後の場合が多い(7月は3.53という高い値になっているが、高い値は過去にもあった。10年の8~10月には2~3だった。なおM2とマネタリーベースの比は、かなり変動している)。今年の4月以降、その値は若干低下した。つまり、これまでと同じ傾向が続いているということだ。

この結果、マネタリーベースに対するマネーストックの比率は低下している。この比率は、量的緩和が終了する06年ごろまで、M2で6~7、M3で9~10程度だった。07年以降はM2で8、M3で11~12程度だった。10年に包括的金融緩和政策が導入されてから低下し、13年7月はM2で5.0、M3で6.8になった。これは異常な事態である。

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