グーグル検索の先駆、大宅文庫の危機と意義

昭和を駆け抜けた評論家・大宅壮一の遺産

市場の需要がスピーディにわかる利点があるが、資金が集まらなければ無益な事業だと宣告を受けるのにも等しい。即座に成否が知れ渡るWebゆえの透明性が、事業再生の可能性を閉ざすかもしれない。大宅文庫の研究員・鴨志田浩氏は、図書館の存続か閉館か待ったなしの状況下で悩んだ末のことだったという。

錚々たるノンフィクションライターを輩出

『大宅壮一のことば 「一億総白痴化」を予言した男』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

鴨志田氏は成約率と集金額で最も実績があるといわれるクラウドファンディングサイト「Readyfor(レディーフォー)」に、2年前から接触。2017年5月に募集を開始、500万円の援助を呼びかけると、わずか3日間で目標額を達成。6月末で締め切り、最終的に854万5000円、支援者は760人に及んだ。

かつて大宅文庫に通いつめた編集者やジャーナリスト、大学生ら団塊世代を中心とするシニアたちが「昔、お世話になったけど、そんなことになっていたのか」と危機を知り、資金提供した。

マスコミのご意見番、メディアの帝王として、現在では比肩する人物が見当たらない大宅。無思想を貫き、体制・反体制にかかわらず、舌鋒鋭い批評を繰り広げた。大宅マスコミ塾を主宰し、そこから草柳大蔵、梶山季之、大下英治ら昭和40年代以降の週刊誌ブームを牽引した錚々(そうそう)たるノンフィクションライターを輩出した。それが現代の“文春砲”など野次馬ジャーナリズムへ脈々と受け継がれている。

一般庶民の感覚と乖離したアカデミズム、事象を追うだけの無味乾燥な報道ではなく、興味本位のいかがわしさはあっても人間くさい雑誌の魅力を伝え続ける大宅文庫。昭和を駆け抜けた大宅壮一の遺産が、新たな局面を迎えている。

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