VAIO、3代目プロ社長「小規模だから勝てる」

売上高はかつての20分の1、でもそれがいい

大田氏同様、吉田社長もまた「プロ経営者」である。旧日本ビクター(現JVCケンウッド)社長、オプトレックス(現京セラディスプレイ)副社長、エルナー社長を歴任。エルナー社長を今年3月退任して2カ月後に社長就任の打診を受けた。

「日本企業から放出されたブランドが大きく復活するというのは醍醐味。断るのは男気がないかなと」(吉田社長)、二つ返事で受けた。VAIO復活を成し遂げられる経営者はそう多くないという自負もあった。「これから従業員と一緒に山を登ろうという時には(ソニー出身者が圧倒的に多い従業員と同じ)メーカー出身者がいい。海外経験があって、会社経営の経験もあるとなると、候補者はそんなに多くはない」。

オプトレックス社長時代、サンテレホンから液晶基板を仕入れていた縁で、大田前社長とは気心が仕入れていた。「次はあんたがやりなさいよ、そんな雰囲気だった」という。

「JD社だけで十分、アリババとは組まない」

今回、一度撤退した中国に再上陸したのは、中国ECサイト大手JD.comから1年前に打診があったからだという。中国には主に米国のサイトからVAIOのパソコンを買ったユーザーが約100万人いるなど、根強い人気があるという。

「かつてVAIOは、ウィンドウズをOS(基本ソフト)とするパソコンのトップに位置していたが、中国から撤退してしまった。再上陸でその穴を埋めることをJD.comは期待している」(吉田社長)

再上陸ではJD.comとのみ提携し、世界最大のECサイトであるアリババとは提携しない。「顧客のレビューを大事にしていて若者に人気のあるJD.comで十分だと思っている」(吉田社長)。複数の家電量販店と提携したり、独自の販売店を展開したりすることもない。固定費が大きくなりすぎるほか、「(販売代金の)回収が難しい国だから」(吉田社長)だ。

今回の再上陸では「まずは高いブランド力をきちんと元に戻すこと」を最優先。数は追わない。初年度数万台、3年後10万台と、販売目標は決して大きいものではない。

中国で生産したパソコンを安曇野工場で最終検査する。これをVAIO社内では「安曇野フィニッシュ」と呼ぶ。今回の中国再上陸でもこの体制を維持するつもりだ。「品質の高さが付加価値の源泉。量が出るようになったら再考するが、中国で丁寧にブランドを復活させようとしているので安曇野フィニッシュを続ける」(吉田社長)。

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