VAIO、「反省の多い1年目」から挽回できるか 商社出身の新社長は、PC以外にも熱視線

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パソコン販売は自前の営業部門を立ち上げ、海外も攻める

「設立1年目は会社の外枠を作り、製品のラインナップをそろえた。2年目からは、会社の稼ぐ力を作っていく」。ソニーのパソコン部門が独立し、2014年7月に発足したVAIOは8月19日、事業方針説明会を開催。6月に就任した大田義実社長はこう強調した。

大田社長は双日でブラジル現地法人社長、中国総代表などを務めた元商社マン。同社常務執行役員を経て、サンテレホン、ミヤコ化学という中堅企業の社長に就き、再建に腕を振るった。VAIOでは、株式の94%を出資する企業再生ファンド・日本産業パートナーズからの要請で、社長に就任した。

今回明かされた今後の取り組みは大きく三つ。一つは、これまでソニーマーケティングに大きく依存していた販売面での改革。自前の営業部を新設することで、顧客との接点をつくる。もう一つは、これまでの国内限定販売をやめ、米国、ブラジルなどへパソコンの海外展開を始めること。最後がパソコン以外の新規事業を、2017年度にもパソコン同様の売り上げ規模に拡大することだ。

VAIOがこれら三つの方向性を示した背景には、発足1年目の“反省”がある。

顧客の声が十分に届かなかった

今年2月以降に発売した「VAIO Z」シリーズは、クリエイターなどコアユーザーに評価され、発売当初は注文が殺到した。しかし、その後受注は失速。「コアユーザー以外への需要の広がりが、いま一つ足りなかった」(VAIO幹部)。法人需要を狙った「VAIO Pro」の新型シリーズも、「認知度がなかなか上がってこない」(同)という。

営業担当の花里隆志執行役員は、「これまでソニーマーケティングを通じて販売していたが、お客さんからのフィードバックが十分に届かず、要望に応えられていない部分があった」と話す。6月に新設した専門の営業部を通じ、自ら顧客の前に出ていくことで、「VAIOに馴染みが薄かったユーザー層にも裾野を広げたい」(花里氏)と意気込む。

とはいえ、国内市場はすでに成熟しており、「伸びしろは海外」と大田社長は語る。VAIOはまずクリエイター向けに特化したハイエンドモデル「VAIO Z Campas」を米国で発売する計画だ。

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