VAIO、「反省の多い1年目」から挽回できるか

商社出身の新社長は、PC以外にも熱視線

米国はクリエイターが多いが、この市場は米アップル製品がほぼ独占している状態。ウィンドウズOSのVAIOは、マイクロソフト専門店や現地のインターネット通販を介し、アップル製品からの買い替え需要発掘を狙う。

生産やアフターサービスの現地パートナーが見つかれば、VAIOは米国以外にも進出する構え。すでに決まっているのはブラジル。VAIOのパソコン製造、販売などを現地企業に委託する契約がまとまっている。同様の展開をすべく、今後はアジアや中東でチャンスを探っていく。

ただし、国内外を開拓しても、「2017年度に向けて、パソコンの伸びはほとんど織り込んでいない」(大田社長)。成熟市場のパソコンでは収益を拡大するにも限界があり、大田社長は「今あるパソコンの規模(と同じだけの利益)を、新規事業でつくっていく」と抱負を語る。

次の狙いはスマホにロボット

その一つがスマートフォンだ。VAIOは2015年3月、MVNO(仮想移動体通信事業者)の日本通信と共同開発した「VAIOフォン」を発売した。しかしハイスペックな“VAIOらしさ”を求めたユーザーから「期待外れ」との評が相次いだ経緯がある。「本来、BtoBを意識した製品だったが、うまく伝えられなかった」と、別のVAIO幹部は反省を口にする。

発足2年目のVAIOを率いる大田社長。重責がのしかかる

さらにVAIOフォンでは、デザインなどでVAIO側からの提案も反映されたものの、関与は限定的だったという。大田社長は「単純なブランド貸しはしない。自社で設計から製造まで関与していく。次の挑戦については、相当前向きだ」「今後はもっと当社で主体性を持った商品開発をしていく」と意気込む。

もう一つ、新規事業の柱に据えるのが、製造受託である。すでに富士ソフトから家庭用二足歩行ロボット「パルミー」の製造を受託。長野・安曇野工場で製造を始めている。同工場はかつて、ソニーのロボット「アイボ」の生産拠点だった経緯がある。設計や生産技術のノウハウが今でも活用できるといい、ロボット以外にも製造受託の分野を広げていく見込みだ。

ファンに根付いたバイオらしさを失わず、新たな収益柱を確立できるか。成否は元商社マンの手腕にかかっている。

(撮影:尾形文繁)

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