脱ソニーから3年、「VAIO」は何が変わったか

過去3年で法人向け売り上げが2倍に

2014年7月の設立会見(写真)から3年が経った(撮影:風間仁一郎)

大幅赤字を計上したうえ、そこから脱却するシナリオを描けないままソニーが手放したパソコン事業――「VAIO株式会社」が7月1日、3周年を迎えた。黒字転換しビジネスは堅調に推移しているというが、パソコン事業に軸足を置いているかぎり、今の市場環境では大きな成長戦略を描けないだろう。パソコン市場で名を馳せたVAIOというブランドは、同社の黎明期を支え続けてきたが、一方で足かせにもなりうる状況だ。

では、どこに活路を見いだそうとしているのだろう。4年目を迎えるVAIOは、ものづくり企業として大きな転換点を迎えようとしている。

2014年、ソニーはPC事業を譲渡

現ソニー社長の平井一夫氏は就任直後、巨額赤字を計上していた事業について事業構造改善の見極めの時間を与えたうえで、テレビ(エレクトロニクス事業としては当時ソニー初だった)は分社化、バイオ事業本部に関しては売却という選択をした。

おそらくソニーにとどまっていたならば、いずれVAIOというブランドは消滅していただろう。しかし、VAIO株式会社となった初年度こそ赤字を計上したものの、2年目からは黒字に転換。さらにEMS事業への取り組みを発表。さらには当初は国内のみとしていた営業地域を海外にも拡げ、売り上げと利益を拡大。着実にものづくり企業としての足固めをしてきた。

もっとも、手放しで喜べる状況とは言えない。

“VAIO”というブランドは、もともとオーディオ&ビジュアルの技術とITを組み合わせることにより、新たなデジタルエンターテインメント家電の世界を切り拓くために生まれたブランドであり、その後、市場環境の変化とともに位置付けは変わったものの、コンシューマ色が極めて強い製品だったからだ。ソニー時代、とりわけ事業が好調だった時代は“パソコンではなくVAIO”という、他社とは異なるジャンルであるかのような押し出しをしていた。

一方、今年6月、外部から招聘される形で社長に就任したばかりの吉田秀俊氏が事業戦略説明の中で述べたように、コンシューマ向け製品としてのパソコンは、スマートフォンやタブレットの影響で存在感がここ数年で低下。企業向け需要が全体の6割を占めるようになってきている。VAIOの売り上げも「営業開始当初の2倍」と急伸した法人営業の成果が現れた結果だ。

次ページソニー時代のイメージを引きずっている
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