日本人の「外国人観光客への偏見」が酷すぎる 「お・も・て・な・し」は五輪の年だけなのか

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この友人は、「インバウンド報道では、“安い民泊を利用、爆買い・ゴミや騒音に関するマナーの悪さ”などが強調されるが、そのような報道に違和感がある」と言います。ホテルにはない、アットホームな親戚宅を訪れる感覚を求めてやって来るゲストも多く、ホストとしての心得を、逆に教えられることが多い毎日なのだそうです。

またこの国の人たちに、60~70代の親世代と同行する家族旅行が多いことにも、この友は感心しています。多くの日本人が忘れかけている、家族の絆を思い起こさせてくれる瞬間が多いのだそうです。

「お・も・て・な・し」は、誇大広告?

筆者が小学生だった頃、住んでいる市に市民憲章ができました。5章しかなかった中の1章が、「私たち市民は、旅行者を温かく迎えましょう」というものでした。当時はほとんどが欧米系ですが、先生からは「通りすがりの外国人観光者に対してでも、目をそらすのは失礼です。ニコッと会釈するだけであいさつになるのですよ」と教えられました。

あれから60年。私たちの中のどれだけの人が、東南アジア系の観光客に、ニコッと微笑むだけのあいさつをしているでしょうか。またはそのタイミングがなくとも、「ようこそ日本へ。良い旅でありますように」という気持ちを抱いているでしょうか。間違った情報で「マナーが悪いインバウンド」と心中に抱くだけで、インバウンド観光客の方たちが受け取る日本の印象も、随分違うはずです。

私は海外旅行では、随分な親切を受けています。フランスの田舎の祭りでは、屋台の中に招き入れられてビールをごちそうになり、周囲の屋台仲間まで集めて一期一会の乾杯をしてくれました。ロンドン郊外では方向を尋ねただけなのに、30分も一緒に歩いて案内してくれた人がいました。アジア系だからと言って不愉快な目にあったことはなく、「遠い国からわが国へようこそ」という心を感じ、その国がさらに好きになったものです。

旅先で受ける親切は、旅を何倍も楽しく豊かな思い出に変えてくれます。そんな経験から、せっかく日本に関心を持ってやってきた旅を、上から目線や偏見で、日本人が台無しにしてどうするのだと怒りを覚えるのです。

幸い2017年上半期のインバウンド観光客は1375万人と過去最高記録を更新。爆買いが収まったとはいえ4~6月期の消費額も、順調に最高記録を更新しているそうです。日本の旅に満足している人が多く、日本ファンが増えていることの証明でもあると思います。

私が目撃したインバウンド観光客に対する心無い人たちは極少数だということになりますが、数が問題ではないはずです。実際、観光客側にマナー違反をする人はいますが、それはどこの国にもいることですし、文化の違いも考慮する必要があります。十把ひとからげに偏見を持つのは問題です。

東京五輪の招致時に世界に向けて発信したお国自慢の「おもてなしの心」を、観光業の人もそうでない人も、日本側のマナーとして、今一度再確認する必要を感じます。海外からのお客さんを迎える側の、民度が問われているのだと思います。

ミセス・パンプキン 『最強の人生相談』『一流の育て方』著者

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立命館大学卒業。ビジネスパーソン向けの家庭問題・人間関係・人生相談の専門家として、東洋経済オンラインで2012年より執筆。最新刊は『最強の人生相談』(東洋経済新報社)。息子であり、『最強の働き方』(東洋経済新報社)の著者であるムーギー・キム氏との共著に、『一流の育て方 ビジネスでも勉強でもズバ抜けて活躍できる子を育てる』(ダイヤモンド社)がある。ミセス・パンプキンへの相談は、こちらのメール、あるいは相談受付サイトで受け付けています。なお相談件数多数につき、過去に類似する相談があった場合には取り扱いません。ぜひ、これまでの連載をご参照ください。男性からのご相談も歓迎しております!

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