アジア人は結局、米国で差別されているのか

ユナイテッド航空事件で浮上した疑問

ユナイテッド航空の「引きずり下ろし事件」に抗議するアジア系の人々(写真:ロイター/アフロ)

シカゴのオヘア空港で4月9日に起こったユナイテッド航空の「顧客引きずり下ろし事件」は、アメリカではいまだ大騒ぎになったままだ。航空会社が当日キャンセルを見込んで予約を多めに受け付ける、いわゆる「オーバーブッキング」が引き金となったこの事件。搭乗前の事前処理がうまくいかず、ユナイテッド航空はランダムに4人の乗客を選び降機を求めたが、そのうちの1人であるアジア系の男性が、最後まで座席を譲ることを拒否したため、空港警察に無理やり引きずり下ろされて血まみれになってしまったというのがことの顛末だ。

流血したアジア系男性の様子を撮影した映像が、ソーシャルメディアを介して瞬く間に世間に広まり、中国系を中心とするアジア移民の間で「人種差別だ」という怒りの声が止まずにいる。

アジア人への差別は少ないのか

現在アメリカでは、ドナルド・トランプ大統領の移民政策への非難や反対も手伝ってか、人種にまつわる問題全般に対し、社会がいつになくピリピリしていると感じる。しかし「人種差別」と取り沙汰されることの中心はアフリカ系、イスラム系、メキシコ系に関するものが多く、今回のようにアジア人が話題の中心になることは比較的少ない。

では、アジア人への差別は少ないのだろうか。答えはある意味においてNOだろう。アジア人が受ける差別は、実はとてもわかりにくい。「ある意味において」と述べた理由は、アジア人に対しての差別にみられる特異性により、それが本当に差別なのかどうかが微妙なケースが非常に多いためだ。しかし微妙なケースをすべて考慮すると、アジア人への差別はそれなりに多いのではないかと思う。

例をあげよう。私事だが、私の夫は誰がどうみても「白人」である。しかし、彼には16分の1だけ、アメリカ先住民のポーニー族の血が入っている。そのため、ポーニー族のインディアン居住区に申請さえすれば、「マイノリティ(少数派)登録」なるものが可能なのだという。「は? あなたがマイノリティ?」と、最初にこの話を聞いた時には、驚いていすから落ちそうになった。

アメリカの連邦政府が認めるアメリカ先住民の部族数は561。正式に先住民であると認められる基準は、各部族によって異なる。しかしいずれも部族の一員として認められれば、税金が優遇される居住区に住むことができたり、マイノリティであることを理由に一部の政府機関で優先就職できたり、何があっても解雇されないなど、様々な優遇が受けられるのが通常だ。

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