長さ故の問題もある。一般的なメガソーラーは四方八方に広がるようにしてパネルを敷き詰め、敷地の中心には発電した直流電流を交流に変換する中間変電所(PCS)を設置している。このように配置するとパネルとPCSを結ぶ電線を短くでき、建設コストや送電ロスを抑えられるという。
これに対し、線状のメガソーラーは電線が長くなりやすく、建設コストや送電ロスの面では不利になる。ただ、メーカー関係者は「電線を太くすることで送電ロスを抑えた。事業採算上の問題はない」と話す。
このほか、列車の運転士がまぶしくないよう、パネルには反射を抑える加工が施された。工事の際も、営業列車が運転されている時間帯にはクレーンを使わないようにするなど、鉄道の安全確保に配慮したという。
新幹線用地の有効活用策として
他のメガソーラーにはない制約がいくつかあり、SGETの谷脇栄秀社長も7月18日の開所式で「設置場所としては最適とはいえない」などと話していた。なぜ、そんな場所にメガソーラーを建設したのか。端的にいえば、幻に終わった「成田新幹線」の建設用地の有効活用策として、メガソーラー構想が浮上したためだ。
成田新幹線は、東京駅と新東京国際空港(現・成田国際空港)を結ぶはずだった、全長約65kmの新幹線だ。途中で千葉ニュータウン内を通り、現在の千葉ニュータウン中央駅に隣接して千葉ニュータウン駅(仮称)を設置。全体の所要時間は最短30分の計画だった。
東京駅から成田空港までは現在、JR在来線特急「成田エクスプレス」や成田スカイアクセス経由の京成スカイライナー(日暮里乗り換え)を使っても、1時間前後かかる。そのため「世界一不便な空港」と言われ続けてきたが、当初は新幹線を建設することで、アクセス時間を短くしようとしていたのだ。
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