「鉄道の混雑率」は、30年間でどう変わったか 数値では下がっているが、実感は?
通勤利用者から見れば、いつまで経っても緩和されないように思える通勤電車の混雑。7月下旬に国土交通省が公表した2016年度の鉄道混雑率データでは、1位が東京メトロ東西線(199%)、2位が総武線各駅停車(198%)、3位が小田急小田原線(192%)、4位が横須賀線(191%)、5位が南武線と日暮里・舎人ライナー(188%)となった。ワースト1位の混雑率はなんとか200%を切ってはいるものの、激しい混雑であることに変わりはない。
だが、かつての混雑は今よりもっと激しかったといわれる。今年はJR発足からちょうど30年。そこで、「国鉄最後の年」だった1986年度から2016年度までの30年で、首都圏の鉄道混雑率と混雑路線がどのように変わってきたかを調べてみた。元となるデータは国土交通省が公表している混雑率データと「都市交通年報」(運輸政策研究機構)のデータを使用した。
30年前は混雑率270%も
近年は横ばいの傾向にあるものの、首都圏の鉄道混雑率はデータのうえではこの30年で大きく低下している。国土交通省による主要区間の平均混雑率データによると、1985年度に212%だった平均混雑率は、1993年には197%、2003年には171%へと大幅に低下。その後はややペースが落ち、2016年度は165%となっている。実感はともかく、約30年で50ポイント近く低下したわけだ。
30年前の混雑率は今から見ると驚異的な数値だ。1986年度の混雑率1位は常磐線快速(松戸→北千住間)で、なんと271%。2位が総武線快速(262%)、3位が中央線快速(260%)、4位が京浜東北線(257%)、5位が横須賀線(250%)と、JR(当時は国鉄)のメジャーな路線が並び、いずれも250%を上回る混雑率。2016年度の1位は地下鉄東西線の199%だが、この当時であれば20位内に入らない。
国交省が示す「混雑率の目安」では、250%は「電車が揺れるたびに体が斜めになって身動きができず、手も動かせない」状態だ。
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