「靴下買います」アカウントの話を聞いたとき、中古制服などを取り引きする「ブルセラショップ」の人か、そこへ転売する人なのかと想像しましたが、近場で好みの女性を狙い撃ちしているとわかり、恐怖とともに彼女が無事でよかったと安堵しました。
2014年に「車の故障を直すから靴下を譲ってくれ」と女子高生に声をかけた宮城県の不審者の事案がありました。それ以降、「靴下売って」事案についてはいろいろなウェブサイトやSNSで注意喚起がなされているため、彼女の耳にも入ったのだと思います。
今、17歳以下の児童が犯罪被害に遭うウェブサイトのトップはTwitterです。警察庁が2017年4月に発表した「平成28年におけるコミュニティサイト等に起因する事犯の現状と対策について」によると、「被害児童数が多いサイト」として「Twitter」がトップ、次いで「ぎゃるる」「LINE」「ひま部」と続いています。被害児童の4人に1人がTwitterにおける被害で、2015年から2016年にかけて97.3%増とほぼ2倍の伸びになっています。出会い系アプリに登録しなくても、知り合いと楽しんでいるTwitterで被害に遭うこともあるのです。
幸せなお付き合いに発展することも
こうした話をすると、「中高生にTwitterは危ないからやめさせよう」と考える人も多いと思います。筆者も高校生までは非公開アカウントにしておくことを勧めています。ただ、前述の資料を見ると、金品目的や性的関係目的といった援助交際に関連する理由で被疑者に会いに行った児童が4割強いると出ています。そうした行動を取りたがる児童への指導はもちろん必要ですが、それ以外の大多数の中高生は、普段の生活の一部としてTwitterを楽しんでいることも事実です。
取材した女子高生たちも、声をかけられたらまず相手の素性を探ると言っていました。アカウントのプロフィールやフォロー、フォロワーを確認し、共通の知り合いがいる場合はどんな人物なのか聞いてみるそうです。Twitterでダイレクトメッセージを受け取っても、すぐ返信せずに様子を見て、何回かやり取りをした後に気が合うと思った人にだけLINEのアカウントを教えるとのこと。
「ヤバいやつは会話しているうちにわかる。こっちが返信してないのにどんどんLINE来るやつとか会わない」
「大丈夫かなと思って会ってみたらすごいダサいとか、プロフ画像と違いすぎだったら、用事があるからと言って秒で帰る」
「家は絶対教えない。ネットだけのつながりならすぐ切れるし」
「慣れてない子が男と会いに行くときはついていって、どんな人か一緒に確認する。途中でLINEで意見を送り合って、帰ったりもする」
「でもTwitterで知り合った人と付き合うとか全然あるし、そのまま幸せに付き合ってる子もいるよ。普通のこと」
リアルの出会いより、ネットでの出会いが先になるケースが多い彼女たちは、ネットでの見る目も自然と養われているようです。今はネットと現実をはっきり分けることは難しい時代です。ネットではいきなり大人の社会に放り出されてしまうため心配ではありますが、すべて禁止するよりも、少しずつ世間の渡り方を教えていくことが大人の役目なのではと感じています。
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