なお、参考までに、経常収入と経常収支差額についても、参考数字として記載した。「経常収入」は、資産売却といった特別収入を除いた収入で、大学の本業である教育活動収入(学納金収入や手数料、教育目的の補助金や寄付金など)に、教育活動外収入(受取利息や配当金)を加えた額で算出している。ここから、支出(人件費や教育研究経費といった教育活動支出に支払利息などの教育活動外支出を加えた額)を引いた額が、「経常収支差額」となり、特殊要因を除いた大学の損益状況がわかる数字になっている。
ランキング対象の学校法人は、財務状況を確認できる659法人で、短大や大学院大学を運営している学校法人も含まれる。国公立大学は会計基準が異なるため、このランキングの対象にはしていない。また決算期は2015年度(2016年3月期)のものとなっている。多くの大学が2016年度(2017年3月期)の財務諸表を公表しているが、すべてを集計できていないことから1期前の数字を使っている。
医学部と付属病院を持つ学校が上位
1位は日本大学。7万人超の学生数を誇る日本大学を筆頭に、短大、付属校など20以上の学校を擁する。
企業の売上高に相当する事業活動収入は1882億円で、収入の内訳を見ると、学生生徒等納付金(学納金=学費)が1000億円強となり、半分以上を占めている。一般的な私立大学の場合、学納金の収入は約5割だ。これに、入学検定料といった手数料や補助金、付随事業収入などが加わる。
2位は順天堂。順天堂大学を運営する学校法人だ。事業活動収入は1575億円だが、順天堂医院など6つある付属の医療収入が1341億円と、収入の8割以上を占める。このように医学部や付属の病院を持つ大学は、事業活動収入が高くなる傾向にある。トップ10では、8位の早稲田大学を除き、医学部を持つ大学となっている。
3位は慶應義塾の1545億円。学納金が533億円、医療収入は554億円となっている。4位東海大学、5位近畿大学、6位昭和大学、7位埼玉医科大学と続く。8位の早稲田大学は、1049億円の事業活動収入のうち、約7割が学納金と手数料収入となっている。9位獨協学園、10位帝京大学までが1000億円超の学校法人となる。ちなみに獣医学部の認可問題で揺れる加計学園は、事業活動収入が194億円で66位だった。
ランキングを見てわかるように、上位の学校法人でも事業活動収入の規模は1000億~2000億円程度で、数万人規模の学生数を擁する学校法人でも数百億円の事業活動収入規模となっている。一般企業でいうと、中堅規模の売上高に相当する。ただ、企業のように全国各地、世界各国で事業展開しているわけではないため、付属病院のある学校を除けば、一回り小さい事業規模といえる。
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