別居し離婚の話し合い中も「不倫」になるのか ポイントになるのは「婚姻関係の破綻」

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配偶者の一方が別の異性と性的関係をもったとしても、すでに保護に値する夫婦間の貞操義務はなくなっており、そして配偶者の一方が別の異性と性的関係をもつことは、夫婦の婚姻関係を破綻させた事情ではないと評価できるためです」

「破綻」と認められる基準はあるのか?

「同居しているよりは、別居中のほうが破綻と判断されやすいとか、別居して間もないよりも、長期間別居を継続しているほうが破綻と判断されやすいといった傾向はあります。また、同居していても、別居期間が短くても、それまでの関係性や状況によっては、破綻していると判断される場合もあります。

逆に、別居期間が1年以上になっていても、この間、子育てだったり、家族生活の維持に相互に協力していたと認められると、破綻してないと判断されることもあります。なので、破綻と認められる基準のようなものを一概に示すことは難しいことです。

裁判上の離婚事由として、民法で規定されている『不貞行為』とは、性交渉(セックスや口淫など)を伴う交際をいいます。そこまで至らないのであれば、不貞行為とはいいませんが、裁判上の離婚事由としては、『その他婚姻を継続しがたい重大な事由』に該当する場合はあります。

ですから、『不貞行為』には該当しなくても、交際の程度によっては、法的にも『許されないこと』(違法性があること)に該当する可能性があるものもあります。

結局、違法性があるかどうかは、婚姻関係の破綻と評価される状況になってから、交際したかどうかという問題になるので、なかなか事前に『これなら大丈夫』と太鼓判を示すのは難しいです」

柳原 桑子(やなぎはら・くわこ)弁護士
1998年弁護士登録 第二東京弁護士会所属
離婚事件・遺産相続事件などの家事事件、破産事件、不動産関係事件等を中心に、民事事件を扱っている。「離婚手続きがよくわかる本」、「よくわかる離婚相談」、「相続・贈与・遺言」監修(いずれも池田書店)。
事務所名:柳原法律事務所

 

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