逆にいうと、安倍内閣のこれまでの政策を、今般の内閣改造後に大きく変えようとすれば、むしろその間隙を縫って、民進党の新代表がこれまでの安倍内閣のお株を奪うような政策を打ち出してくる可能性もある。
ましてや改造後の安倍内閣で、無節操に国債を増発して大胆に政策を変えようとでもすれば、民進党が付け入る好機となるだろう。
与野党の差異は憲法改正と量的質的金融緩和
このように対野党とのスタンスからみても、社会保障や雇用政策などで、安倍内閣がこれまで取り組んできたことを、今般の内閣改造後に大きく変えるのは、今のところ考えにくい。改造前に示した政策の方向性に沿って、さらに政策を深化させてゆくこととなるだろう。6月9日に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2017」(骨太方針2017)には、「600兆円経済の実現と2020年度の財政健全化目標の達成の双方の実現を目指す。」と明記されている。財政健全化目標は依然生きている。
残された与野党間の差異は、憲法改正と、量的質的金融緩和に対するスタンスが主となる。憲法改正も量的質的金融緩和に対するスタンスも、安倍内閣、特に首相周辺の官邸サイドに強いこだわりがあり、一朝一夕に変わるとは思えない。
いうまでもなく、金融政策は内閣ではなく、日本銀行が決めることだが、現在の日本銀行の政策スタンスを支持するか否かという意味である。ついでにいえば、社会保障がらみの部分で、給付付き税額控除の導入についても、民主党政権時に提唱され始めたことから、政権与党では否定的な見方が根強く、むしろこれは民進党の独自性が出る政策として、与野党間の差異となる。
衆議院議員の任期も残り1年4カ月となり、安倍内閣と、新代表の下での民進党とで、どちらがどれだけ国民の支持を集められるか。政策の内容とともに、今後目が離せない。
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