建設現場の大問題「トイレ」の華麗なる大変身 内閣府も太鼓判?「快適トイレ」のスゴい実力

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こうした仮設トイレの普及を、政府も後押ししている。日々の暮らしに不可欠なトイレの改善を通じて、女性が働きやすい社会を形成するという理念から、内閣府は2015年5月に「日本トイレ大賞」を創設した。

創設時の会見では、有村治子・女性活躍担当相(当時)が、「トイレ大臣と呼ばれても良い」と発言する力の入れようだ。コマツの「快適トイレ」は2015年トイレ大賞の女性活躍担当大臣・男女共同参画担当大臣賞を受賞した。

トイレの認定制度も

NPO法人、日本トイレ研究所はこの8月から星マークによる認定を始める(画像:日本トイレ研究所提供)

2016年10月からは、罰則規定こそないものの、原則すべての建設現場に一定の設備が整った仮設トイレの設置を義務化し、レンタル料の一部を政府が負担する制度が導入された。

さらにNPO法人「日本トイレ研究所」は今年6月、国土交通省が定める基準を満たした仮設トイレに対し1ツ星、2ツ星の認定マークを発行することを発表した。この8月よりメーカーからの申請を受け付け、順次発行する予定だ。

とはいえ、労働環境改善に向けた道のりは険しい。女性用のトイレを導入した現場では、「掃除は男女別で行うため、絶対数の少ない女性に負担がかかってしまう」(ゼネコン幹部)など、別の問題も起こっている。

快適な仮設トイレの導入は、あくまで労働環境改善の一環にすぎない。「建設現場で働く女性は、入職時点から男の職場と割り切っている。不便なのが当たり前で、積極的に改善の声を挙げようとはしない」(国交省の担当者)のが現状で、業界全体の意識改革が不可欠だ。

かつて3K(臭い、汚い、暗い)の代名詞だった仮設トイレ。それが快適な空間に生まれ変わることが、建設業は女性の働き口として有望な選択肢となるための第一歩だ。

一井 純 東洋経済 記者

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いちい じゅん / Jun Ichii

建設、不動産業の取材を経て現在は金融業界担当。銀行、信託、ファンド、金融行政などを取材。

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