横須賀から面白いコンテンツが生まれるワケ カレーチョコやイングレスで観光集客

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次に訪れたのは、横須賀市役所の観光企画課だ。同課には、ゲームやアニメなど“サブカルチャー”による観光集客業務に特化したメディアデザイン班というチームがある。

同チームが発足した経緯について、観光企画課課長補佐の遠藤盛久さんは、

「横須賀は、横浜や鎌倉などの大観光地に囲まれており、通常の切り口だけでは、到底、太刀打ちできないという思いが以前からあった」と言い、あるとき、主人公が横須賀出身という設定のアニメのプロデューサーが市役所を訪れ、何か一緒にやろうという話を持ってきてくれたのが、観光企画課がサブカルに携わった、そもそものきっかけだという。

横須賀市には、もともと市、商工会議所、京浜急行電鉄の3者でつくる「横須賀集客促進実行委員会」という組織があり、市の職員も民間と一緒にご当地グルメのPRなどを行っていた。そのため、話が来たときに、柔軟に対応できたのではないかという。

現在、さまざまなゲームやアニメとコラボした集客事業が行われている中で、今回、注目したのが、「Ingress(イングレス)」というオンラインゲームだ。イングレスによる観光集客を発案し、現在も担当する古崎絵里子さんに話を聞いた。

なぜ、ゲームが観光集客に結び付くのか

横須賀市役所メディアデザイン班の皆さん(筆者撮影)

イングレスは、グーグルの社内からスタートアップした米国企業のナイアンティックが開発・運営を行う、スマートフォン向けの位置情報ゲームアプリだ。ちなみに、ナイアンティックは、「ポケモンGO」の運営も行っている。

イングレスの基本的なルールはシンプルで、ユーザーは“青”か“緑”、いずれかの勢力に属する。

ゲームに登録されている“ポータル”と呼ばれる場所に実際に行って、スマホの操作でポータルを自勢力の所有とし、3つのポータルを結んで三角形になると自勢力の陣地になるという、位置情報技術を使用した“陣取りゲーム”だ。

なぜ、イングレスが観光促進につながるかといえば、ポータルを自勢力の所有に変える操作を行うためには、ポータルの40メートル以内まで近づかなければならないため、実際に現地に足を運ばなければならない。また、ポータルは、観光名所などの建物や記念碑などに設定されていることが多い。

さらに、より大きな三角形をつくって自勢力の陣地にしたり、さまざまな場所に足を運ばないとレベルアップできない仕組みになっているなど、観光との親和性が高いのが特徴なのだ。

しかも、以前はポータルの登録をユーザーが比較的自由にできたため、ポータルをより多く市内に設定することで、費用をかけずに集客できるというメリットもあった。

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