横須賀から面白いコンテンツが生まれるワケ カレーチョコやイングレスで観光集客
今までなじみのない味だったためか、お客さんからは「コクがない、辛くない」などと酷評され、自衛隊OBには「こんなものを提供されては困る」と怒鳴り込まれたこともあるという。
現在の自衛隊で食されているカレーと、明治時代の海軍のカレーは別物なので、怒鳴り込んだ自衛隊OBは、本物と違うものが提供されていると勘違いしていたのかもしれないと、当時を振り返る。
そんな中、横尾さんは、旅行会社の担当者やお客さんの前で、「海軍カレーは、明治時代にイギリス海軍から伝わったカレーシチュー」であり、現在の一般的なカレーとは異なるものであることを丁寧に説明し続けた。
同店の海軍カレーは、老舗ホテルの料理人も務めたシェフが考案したレシピで作っており、味には自信があった。つまり、カレーは辛くてコクがあるものという固定観念を捨ててもらい、“別物”として味わってもらうことが重要だったのだ。
そのうちに、次第に潮目が変わり、「おいしい」と言ってくれるお客さんが増え始め、やがて、「海軍カレーを食べたいからツアーを組んでほしい」というお客さんの要望を受け、大手旅行代理店が、海軍カレーの食事をメインとするツアーを組むまでになった。
横尾さんは、このとき初めて、自分のやってきたことが間違ってなかったと確信し、自信をつけた。そして、次に取り組んだのが、“カレー味のお土産”を開発することだった。
カレーチョコ開発の狙いは?
横尾さんが最初に開発したお土産は、地元の老舗和菓子店の協力を得て出来上がった「カレーカステラ」だった。しかし、お土産として「おいしい」だけでなく、話題になるものを作ってみたかった。
そこで、チョコレート好きな横尾さんがチャレンジしたのが、カレーチョコだった。
開発にあたって横尾さんが気をつけたのは、「まずすぎても、おいしすぎても話題にならない」ということだった。おいしいものは、単に「おいしかったね」で終わってしまう。
そこで狙ったのが、“ひとりでは食べきれない嫌な辛さ”だという。ひとりでは食べきれないので、家族や友達とシェアして食べてもらう。これで、話題になる確率が高くなるという計算だ。
製造は、兵庫県のチョコレートメーカーに委託し、開発中は、メーカーから届くサンプルを暇さえあれば食べ続けたため、かなり体重が増えた。
ちなみに、カレーチョコは、ホワイトチョコをベースにしているが、これは、「横須賀海軍カレー本舗」では、レストランもお土産も年配のお客さんが多いため、カレーのルウと間違えないようにするための配慮だったという。
こうして完成したカレーチョコは、評価が分かれつつも、結果として大ヒットし、発売開始後、最初の1週間の売り上げは、ちょうどバレンタインの時期に合わせたこともあり、1ケタ違うのではないかと目を疑うほどだったという。
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