危機感が感じられないテレビ局
この“24時間テレビがつまらない”という問題は、本質的には日本のテレビが極端につまらない問題の一つの表出にすぎない。本来なら視聴率が低迷して自然と番組内容に変更圧力がかかるはずなのだが、同時間帯の他局の裏番組も、少し後に放送される半沢直樹以外は、いかにもつまらなさそうだ。
この根本原因は規制で新規参入が阻まれていて、既得権益を有するテレビ局が、お互い質の低い番組を作り続けても倒産しないというテレビ業界の構造問題にあるのではないか。
実際、テレビが面白くないという長年の批判にもかかわらず、日テレは儲かっている。売り上げは3000億円に上り、経常利益率も10%を超える。5000億規模のバランスシートは、実に8割が自己資本で賄われており、土地や大量の有価証券を有している。これだけつまらない番組ばかり作って、なおかつ儲かっているのだからいかに規制によって社会の富の分配が歪められているかお分かりになるだろう。
優秀な人材が、テレビ局を辞めていく
実際私の友人にも適当な志望理由でテレビ局に入って、あまりに馬鹿げたバラエティ番組ばかり作らされ続けて数年で辞めてしまった人がいるが、「あれで若くして1000万以上の年収をもらえるなんて、信じられない」と人材のレベルの低さに溜息をついていた。
なお私の友人で、テレビ局に勤務する優秀な人、志の高い人も数人いるのだが、私の後輩にあたるアナウンサーの友人も「朝早く起きて不本意なことに被り物を強要された。こんな恰好してアイドル扱いされるために入ったんじゃないのに・・・・・・」と嘆いて早期に辞めてしまった。
少数の枠に数千人が殺到する“採用市場における殿様商売”のテレビ局では、優秀な人を採用し、活躍させ、つなぎとめる人事戦略もどうやら期待できなさそうである。しかし番組のクオリティを上げる根本的な対策は、いかに優秀な人材を集めて育成し、長年働いてもらうかにあるのだが、優秀な人材がテレビ局を見限るかぎり、テレビ業界の地盤沈下は止められないであろう。
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