太陽光パネルは発電効率、コスト面で競争力を確保−−新美春之 昭和シェル石油会長

--現在主流の結晶型太陽電池ではなく、シリコンを使わないCIS系の太陽電池のパネル生産に取り組んだ理由を聞かせてください。

使用する希少金属をできるだけ少なくするという狙いから、CIS型を選択。シリコンベースの太陽電池に比べて発電効率の面でも遜色ない水準だと確信し、工場を建設して商業生産へと移行しました。

--シャープが採用し始めた薄膜型など新世代太陽電池に対して、生産コスト面で太刀打ちできますか。

現段階では、発電効率や生産コストで他の方式と比較しても十分な競争力があると判断しています。ただ技術開発は時間との競争で、競合他社も生産規模の拡大やコスト低減に取り組んでくるでしょうから、競争力で優位に立ち続けられるのはおそらく3~5年にすぎないでしょう。

今後、競争相手が仮に生産コストを半分にしてきたら、現段階では太刀打ちできない。だから、アルバックと提携して神奈川県の厚木にリサーチセンターを建設、大量生産技術を確立しようということになった。競争力ではすでに頭ひとつ抜けているが、相手が規模や技術の面でこちらを凌駕しようとするのであれば、こちらは昭和シェル単体ではなく、アルバックとの量産技術の共同開発で対抗しようというわけです。

--太陽光パネル供給のメインとなる市場は。

ドイツが太陽光エネルギー普及のエンジンになると思われますので、当面は欧州中心に展開します。米国は州によって推進の是非が異なるものの、潜在的に魅力あるマーケットに変わりありません。

--石油精製・販売という本業と、太陽光関連事業とのバランスをどうお考えですか。

国内では石油精製・販売から流通に至る分野で圧倒的な競争力を有しているのは間違いない。これからもシェアを増やす努力を続けるが、一方で世界第3位に位置する日本の市場規模は横ばいから縮小へと向かっています。これでは収益拡大にも限界があるでしょう。

このため、今のうちに第2のコアビジネスを育成することが不可欠。単に「太陽光もいいか」といった中途半端な姿勢ではなく、かなり切迫した気持ちで取り組んでいます。今後も相当の経営資源を投入していきたい。しかし、第2の柱も「本業」があって初めて成立するビジネス。石油事業における現在の競争力をいかに維持し続けるかが、同時に求められているのです。

(鈴木雅幸、松崎泰弘 撮影:尾形文繁 =週刊東洋経済)

にいみ・はるゆき
1936年愛知県生まれ。ワシントン大学経済学部卒業、60年旧シェル石油入社。ロンドン勤務、リテール部門販売促進部長などを経て79年取締役就任。95年昭和シェル石油会長、98年同社会長兼社長、2006年3月から現職。

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