東大合格率No.1の筑駒は水田で生徒を育てる 都心の超進学校が年間を通して稲作する理由

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手際よく進めたクラスはものの30分ほどで作業を終えた。そのうちお調子者が、まだ田植えのすんでいない田圃(たんぼ)の中で相撲を取り始める。周りのみんなも後片付けしながら笑顔で見守る。荒らしてしまった田圃をあとでちゃんともとに戻すところはまじめだ。

水田の中で転げ回るほど遊ぶ生徒も(写真:学校提供)

水田を守ることは筑駒の伝統

学校への帰路、全身真っ黒になっている生徒がいた。水田委員長だ。朝の全体会では「ふざけないで」と呼びかけてい生徒である。

「なぜ水田委員長をやろうと思ったの?」

「中1で入学したばかりのときに、水田を見学に行きました。そのときに、水田に落ちちゃって(笑)。そのあとにクラスの委員を決めようということになって、みんなから『おまえは水田委員で決まりだろ』って感じで水田委員になりました。それで水田稲作学習には妙な運命を感じていて、今回委員長に立候補しました」

よほど泥が好きらしい。自他共に認める筑駒の「ミスター水田」というわけだ。

「水田委員の醍醐味は何?」

「入学式や卒業式では、あの田圃でとれた餅米を使って赤飯を炊くのが筑駒の伝統なんです。その伝統を受け継いでいるという自負はあります。収穫後の餅つきが楽しみです。稲作なんて人生でそう何度も経験できることではないと思うので、貴重な経験をさせてもらっていると思います」

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