何度失敗しても、学習効果がない中国の体質
今でも中国では、依然として違法な採掘が後を絶たない。製錬分離の生産能力急拡大や環境破壊、重大な資源浪費、高度応用研究開発の遅れ、輸出秩序の混乱などの問題があり、業界の健全な発展に重大な影響を与えている。
さすがにレアアース業界では、中国南部のイオン吸着型レアアースを寡占化している業界上位3社のシェアを80%以上にする決定がなされた。南部での3社の名前は公式には出ていないが、業界では、中国五鉱集団(中国MINMETAL)、中国有色金属工業対外工程建設有限公司(China Non-ferrous Metal Industry's Foreign Engineering and Construction)と地方有力企業1社に、市場をコントロールさせる権限を集中させた。
実は、北部では内蒙古包鋼稀土高科技(Inner Mongolia Baotou Steel Rare-Earth Hi-Tech )に権限を与えた。だが南部は産地が分散し、多数企業が競っていたので、自由競争を故意に避けるように市場管理を強化したのだ。力任せに価格操作をしようとする政府の気がしれない。WTOは、国家権力によるカルテル行為ではないかと見ている。
ただ、市況が下落したことで、世界市場にも多大な影響が出てきた。アメリカのモリープ社(マウンテンパス鉱山)やオーストラリアのライナス社(マウントウェルド鉱山)の開発がコスト割れして、継続が不可能になる可能性も出てきたからだ。
これがレアアース業界の最大の欠陥である。中国の生産態勢が不安定であるがゆえに、海外の供給元の安定生産が担保されないのだ。中国はWTO参加国であるにもかかわらず、環境問題などを言い訳に一方的に輸出量を削減したりする。また、需給バランスが崩れたといって鉱山から分離精製工場に至るまで一方的に市場管理を強化する。明らかに自由競争を原則とするWTOルールに違反しているが「内政干渉はやめろ」といった反応でごまかすから話にならない。
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