猛暑で今年の夏は財布のひもが緩むのか 気温以外のさまざまな要因も考えると…
気象庁によれば、今年の夏は全国的に気温が高く、厳しい暑さになりそうだ。
一般的に、猛暑は夏場(7~9月)の個人消費にはプラスに働くといわれている。とりわけ、記録的な猛暑となった2010年は、猛暑効果が個人消費を押し上げたとみられる。東京では7月に最高気温が平年を上回った日数で見ると、今年は2010年の日数に迫る勢いだ。
ただ、猛暑と個人消費との相関は2015年、2016年には薄れているようにも見える。
猛暑によって消費にプラス効果が出るものは、エアコンなどの耐久財、エアコン使用に伴う電気代、衣類、飲料、酒類、果物、室内装飾品(カーテンなど)がある。ガス代や寝具類など、猛暑が消費を減退させる品目はあるものの、「全体的にプラスの品目のほうが多い」(日本総合研究所の村瀬拓人・副主任研究員)。
「プラス効果が見られる品目の多くは、電気代や飲食料品など、一度消費したら消えてしまう品目。消費増税に伴う駆け込み需要の反動減のような、需要の先食いは起きにくいと考えられる」と村瀬氏は話す。もちろん、猛暑効果があった月の翌月や翌四半期は前月比・前期比がマイナスになるが、通年で見ればプラスになる。
可処分所得が伸び悩んでいる
今年の夏はどうだろうか。足元では個人消費の判断が難しくなっている。総務省の家計調査(2人以上の世帯)を見ると、15カ月連続で実質消費支出はマイナスだ。ただ、日本銀行の実質消費活動指数は2017年初頭から改善の傾向を見せており、高額消費の動きを示す全国百貨店売上高も6月には前年同月比1.4%と、2カ月ぶりのプラスとなった。
「消費の基調は悪くないため、猛暑による個人消費の押し上げも期待できる」と、日本リサーチ総合研究所の藤原裕之・主任研究員は話す。ただ、「猛暑をテコに、景気全体が上向くかどうかはわからない」(藤原氏)。気温以外にも、消費者のマインドに影響する要因はたくさんあるからだ。
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