グノシーは「後出しじゃんけん」で戦う会社だ 福島CEO「スマホの次の時代でも勝負できる」

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――ここ1年くらい、AIについて言及する企業がものすごく増え、バズワードのようになっている。グノシーでは創業時から開発に力を入れ続けているが、昨今の状況をどう認識しているか。

グーグルをはじめとする大手の投資の仕方や、出来上がってくるプロダクトを見ても、これから短い間にどんどんレベルが上がって、複雑な課題を解決していくのだろうと感じる。ただ、いちばん大事なのは、それでどんな課題を解こうとしているのかということだ。

AIが得意なのは、ゲームのルールが決まったものについて的確に処理すること。ある画像について猿かどうかを判断するとか、将棋でどうやって王様を取るかとか。でも、本当に難しいのは、どういうルールなのかを正しくとらえることだ。そこを真剣に考えている会社は、意外と少ない。

デバイスが変わっても、グノシーは勝負できる

たとえば、「いいニュースアプリ」はどんなルールで決まるのか。クリック率が高いことが最善かというと、かなりきわどい感じがする。そこで読了率や滞在時間を加えてみる。それでもまだ理想からは遠い。さらにユーザーの過去の行動や興味情報を加味してみよう、時間帯や曜日も入れてみよう、と、要素を足したり引いたりしながらルールを考えるわけだ。

福島良典(ふくしま・よしのり)/1988年生まれ。東京大学大学院工学系研究科修了。在学中の2011年にグノシーのサービスを開始。2012年からCEOを務める(撮影:梅谷秀司)

AIは魔法でも何でもなくて、多大なる努力と、チューニングがあって役に立つもの。人口減少下の日本では、人間の労働量ではなく、AIの計算量をあらゆる課題解決に生かすべきなのは明らかだが、とはいえ、どんな会社でも急に爆発的な成果を出せるようなことはあり得ない。僕らもニュースアプリという分野から、コツコツと技術の蓄積をするのみだ。

――AIスピーカーなど「ポスト・スマホ」の技術が顕在化し始めている。そんな次の時代のグノシーについても、すでに考えているか。

もちろん考えている。最初はたぶん、オススメニュースを音声で届けるくらいのものだろうが、僕らの本質的価値は、ユーザーが欲しいと思う情報を検索する前に届けること。旅行計画を提案し予約までできたり、おすすめの映画をあちこちのサービスから比較して選んできたり、いろいろな場面で役に立てる。

そのために今、ホットな市場であるスマホのニュースアプリで技術を鍛えている。デバイスが変わっても、グノシーはデータとアルゴリズムで勝負できる。

長瀧 菜摘 東洋経済 記者

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ながたき なつみ / Natsumi Nagataki

​1989年生まれ。兵庫県神戸市出身。中央大学総合政策学部卒。2011年の入社以来、記者として化粧品・トイレタリー、自動車・建設機械などの業界を担当。2014年から東洋経済オンライン編集部、2016年に記者部門に戻り、以降IT・ネット業界を4年半担当。アマゾン、楽天、LINE、メルカリなど国内外大手のほか、スタートアップを幅広く取材。2021年から編集部門にて週刊東洋経済の特集企画などを担当。「すごいベンチャー100」の特集には記者・編集者として6年ほど参画。2023年10月から再び東洋経済オンライン編集部。

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