グノシーは「後出しじゃんけん」で戦う会社だ 福島CEO「スマホの次の時代でも勝負できる」
――その一貫で、以前グノシーとして掲げていた、多機能・単一アプリによる「5000万人都市構想」を断念し、単一機能・複数アプリで勝負する方向に舵を切った。なぜ戦略を変える判断をしたのか。
「5000万人都市構想」を掲げるうえで参考にしていたのは、中国の状況。メッセンジャーアプリの微信(ウィチャット)が決済の領域でも存在感を高めているように、大きなサービスがいろんな機能を束ねながら、一つの巨大な経済圏を作っている。日本でもこういうことが起きるんじゃないかと推測して事業を進めていたが、うまく軌道に乗せられなかった。
僕らの根本的な方針として、これがうまくいくはずと思って始めたことでも、ユーザーに受け入れられなければ、それは「間違い」と判断して撤退する。その後、ユーザー層を広げる次の策として「ニュースパス」に挑戦する機会を得られて、結果としてかなりうまくいった。
国民性の違いなのか、競合状況の違いなのか……正直わからない。うまくいく、いかないの理由はいろいろあるのだろうが、僕らは理論家とか評論家ではないので長々と要因分析はせず、うまくいったほうに事業の軸を寄せて、いいサービスを作ることにリソースを集中させるのみだ。
技術が生かせそうな領域だから、参入した
――直近で発表している新サービスは、女性向け情報のキュレーションメディア「LUCRA(ルクラ)」と、フリマをはじめ複数のショッピングアプリで横断的に商品検索や価格比較ができる「Bazzary(バザリー)」。この2つの市場に注目した理由は?
2つとも、大きな情報の需要があるのにまだまだユーザーに不便を強いていて、かつ解決すべき課題が面白そうで、僕らの技術が生かせそうな領域だと判断したので、参入を決めた。
まず女性向けのコンテンツは、女性誌からネットメディアまで、年代やテイストで多くの媒体に情報が分かれており、ユーザーは自分のテクニックやリテラシーを頼りに、苦労して情報を探している。DeNAの「MERY(メリー)」みたいなメディアが成長した背景にも、そういう事情があったはずで、グノシーの得意分野であるパーソナライズ技術を生かせる。
「バザリー」もそうだ。フリマアプリを利用しているユーザーを観察してみると、フリマアプリ同士の比較はもちろん、新品とも比べて購入を検討する人は少なくない。でも現状、わざわざ各サイトを見て回らなければならず、簡単に比較できるプラットフォームは存在しない。
なぜこの比較が難しいというと、フリマアプリの存在が大きい。個人が出品しているので、商品の正式名称や型番による「名寄せ」が簡単にはできない。なるだけ検索にひっかかるよう、商品情報欄にものすごい数のタグを付けているケースが多く、これも雑音になる。
ここに機械学習的なロジックを用いると、雑音を消しながら名寄せできる環境を作ることができるし、それはものすごくニーズがあるだろう。
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