グノシーは「後出しじゃんけん」で戦う会社だ 福島CEO「スマホの次の時代でも勝負できる」

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――マスに使われるサービスになるほど、品質に対する要請は大きくなる。昨年末にはDeNAが運営するサイトの品質問題が世間を騒がせた。それと「グノシー」は種類が異なるものの、ネットメディア全般に対する世間の目は厳しくなっている。

品質の底上げは当社にとって最重要課題だ。(これまでネットメディアの中心的ユーザーであった)情報リテラシーが高い人は、ネット上の「なんとなくウソっぽい」情報を受け流しながら使っていたのだろうが、より幅広いユーザーにも裾野が広がり、状況が変わってきた。DeNAの事件はそれを象徴する出来事だったのではないか。

グノシーは2015年4月に上場。福島CEOは「上場ゴールではなくスタートだ」と語っていた(撮影:今井康一)

グノシーは自分たちで記事を書くのではなく、提携メディアの記事を独自アルゴリズムで並べるメディアだが、情報の質の判定というのは非常に難しい。

というのも、本当に良質な記事、タイトルや画像で誤認させるような釣り記事、内容が間違っている記事(フェイクニュース)のどれも、実はクリック率が高く、滞在時間が長く、読了率も高いということがわかってきた。つまり、従来の評価軸だけではユーザー満足度を正しく測れないということだ。

今、僕らのデータ分析チームで考えているのは、画像の質をどう加味するか、タイトルと本文の乖離をどう評価するか、そもそも事実かどうかをどうチェックするのか、というあたりにもっと工夫を加えていくこと。釣り記事もフェイクニュースも、(それを推奨してしまう)プラットフォーム側の問題でもある。まさに自分たちの問題ととらえ、取り組んでいる。

まずは今年中に、ユーザー満足度を著しく下げるような釣り記事を排除できるアルゴリズムを打ち立てたい。その次の段階で、2~3年かけて、より高度な手段でだまそうとするところにも対抗できる体制を築いていく。

今は情報が多く、趣味趣向も多様化している

――決算説明会では「リテラシーの高くない多くのユーザーにとって…」と表現した部分があった。弊社の記事のコメント欄には「ユーザーをバカにしている!」といったコメントも寄せられたが、その真意は?

確かに、言い方がマズかったかも……。もちろんバカにしている意図はまったくない。むしろ、ネットのコンテンツを消費するために「リテラシーが必要」というほうが間違っていると思う。

だって、たとえばテレビを見るときに、テレビを見るためのテクニックやリテラシーが存在しますかと。新聞もそう。なのにインターネットだけが、グーグル検索にはこういうコツがあるよとか、こういう人をフォローするといいよとか、あり得ないくらい難しい。

これはつまり、プラットフォームが未熟だからユーザーにリテラシーやテクニックを強いている状態。「情弱」(情報弱者)なんて言葉も生まれ、リテラシーの高い人だけがいい情報にたどり着いて、得をする世界。それが僕にとってすごくストレスフルだったから、「グノシー」を作ったという経緯がある。

昔は扱う情報が少なかったし、シンプルな届け方でよかったのだが、今は情報が多いうえに趣味趣向も多様化してきている。だからAI(人工知能)を活用したアルゴリズムを作って、パーソナライズの仕組みに磨きをかけながら、最適な情報の届け方を模索している。

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