独身を追い詰める「悪意なき結婚圧力」の正体

男性への「ソロハラ」は過小に扱われすぎだ!

昭和の時代であれば、「よく見られる光景」で済まされたかもしれませんが、いまやこれは立派なハラスメントと認定されます。しかし、いまだに上司や先輩からの「イジリ」ネタ程度で処理されていないでしょうか。

また、女性の場合は、男性からだけではなく、同性の既婚者からのソロハラも多いようです。以下は、私が実施した独身女性に対する対面インタビュー調査で出た意見です。

「既婚者の職場の先輩(女性)から、独身は自由でいいわよね~、時間もおカネも全部自分のために使えるし……と、いつも嫌味っぽく言われます」(34歳女性)

「結婚したいなんて一言も言ってないのに、先に結婚した同期から顔合わせるたびに説教されます。理想が高すぎだと。もう若くないんだから、自分のレベルをちゃんと見極めなさいって、延々と。本当にしつこいし、うざい」(30歳女性)

厚生労働省の平成24年「職場のパワーハラスメントに関する実態調査」の報告書にも、こんな発言が紹介されていました。

「いい年をして結婚もしていない、子どももいないから下の者に対して愛情のあるしかり方ができない、と言われた」(40代女性)

ひどい理屈です。子どもがいれば愛情あるしかり方ができるのでしょうか? そこに何の因果関係があるというんでしょうか? 同様の例は当然男性も受けているのですが、あまり表面化しません。

「未婚の市長とは議論できない」

企業内においてだけではなく、議会でもこうした問題が発生しています。ひとつは、2014年6月東京都議会本会議において起きた、塩村文夏議員に対するソロハラヤジ騒動です。塩村議員が妊娠や出産に悩む女性の支援策について質問していた際に、男性議員からの「結婚したほうがいいんじゃないか」などのやじが問題視された件です。東京都には1000件を超える抗議が寄せられ、テレビなどでも報道されました。日本国内のみならず、欧米にまでその報道は広がりました。

もうひとつは、2016年に秋田県大館市議会で発生した、女性から男性に対するソロハラです。60代の既婚女性議員が市議会で、40代独身の福原淳嗣市長に対し「未婚の市長とは議論できない。結婚を」と発言した問題で、当該女性市議には戒告処分がなされました。

しかし、この大館市のニュースは、一部テレビや新聞でも取り上げられたものの、前述塩村議員の件と比べて、それほど世間の注目度は高くありませんでした。それは、ソロハラされた相手が男性だったから、というのも否定できないと思います。

セクハラでもそうですが、被害者が女性か男性かでメディアでの取り上げられ方には温度差があります。この大館市の件にしても、本音では「そんな目くじら立てることでもないだろ」と思った人たちが大勢います。戒告を受けたこの女性市議もこう弁明しています。

「親心で子育ての重要性を訴えた。結婚は私的なことで、誤解を招く表現だったが、悪意はなく、戒告は納得いかない」

次ページなぜ悪意なく結婚を強要してしまうのか
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