ゲーム音楽専門オーケストラ「JAGMO」の正体

マリオ、サクラ大戦、東方プロジェクト…

JAGMOプロデューサーの山本和哉氏(編集部撮影)

年会員を重視する理由はもうひとつある。1980年代のゲーム勃興期より、発売されたゲームは数限りない。ファンの嗜好も千差万別だ。JAGMOのコンサートでは聴衆の7割がアンケートに回答してくれるほど、熱意がある。それだけに、「自分の好きなゲーム音楽を取り上げてほしい」という期待も高いようだ。

「よく知られたゲーム音楽を取り上げると集客は高いのです。でも、できればコアなお客様の要望にも応えられるオーケストラにしたい。将来的に年会員だけで1回コンサートが開催できる規模、1500~2000人ぐらいまで増やしたいと思っています」(山本氏)

今後の予定としては、9~10月にビッグバンドのコンサートを初めて大阪で開催する。トランペット、トロンボーン、サキソフォーン、リズムセクションから構成される20人弱のジャズバンドによる演奏だ。2018年以降にはさらに地方公演を企画したいという。遠方からの聴衆も多く、「地方で開催してほしい」という要望が高いためだ。

「また立体音響やVR(バーチャルリアリティ)などを用いて、自宅にいながらにしてバーチャルコンサートが視聴できる。そういった企画も考えていきたいです」(山本氏)

来場動機が「JAGMOを聞きたい」へと変化

クラシックコンサートのスタイルに新風を吹き込む一面もある。たとえば、日本神話や戦国時代を題材としたゲーム音楽など、和楽器を取り入れた演奏も行う。オーケストラと和楽器の組み合わせはクラシックの日本作品には存在するものの、国内外ともに、なかなか演奏される機会がないのだ。

また、あるゲームとのコラボレーション企画では、格式ある都内のコンサートホールで「コスプレイベント」も行った。こうした試みはクラシック音楽の新しい楽しみ方を模索し、その裾野や可能性を広げる。

JAGMOの目標は「ゲーム音楽のすばらしさを広めるとともに、クラシックのファン層を広げる」こと。それは今、実現しつつある。たとえば、聴衆の来場動機が「ゲーム音楽を聞きたい」から「JAGMOを聞きたい」へと変わってきていることを実感するという。また、それまで知らなかったオーケストラの魅力を体感し、クラシックを聞いてみたくなった、という声も多いそうだ。

クラシック音楽は、数百年という昔にその形式が完成し、現代までにさまざまな文化に影響を与えてきた。一部の愛好家にとっては構成を研究したり、演奏の解釈を聞き比べたりする楽しみもある。そのことから「難しい」「肩が凝る」と思っている人も多いかもしれない。しかし、現代の音楽と同じように、クラシック音楽も、本質は聞いて「心が動く」ところにある。

クラシック音楽が「クラシック」でなかった時代には、作曲家同士が刺激し合い、新しい楽器や形式が生まれるなど、相乗効果で文化が大きく育っていった。考えてみれば、現代も同じようなことがゲーム、アニメ、IT技術といった新しい要素を加えながら、グローバルに展開していっているのかもしれない。

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