ゲーム音楽専門オーケストラ「JAGMO」の正体

マリオ、サクラ大戦、東方プロジェクト…

「でも実際に演奏してみると、クラシックのメソッドにない音の連なりがあったりして、難しいことも多いんです。またJAGMOの場合、クラシックとは違って、毎回演奏するゲームタイトルごとに譜面も新しくなるので、譜面に向かう姿勢がより真剣になるのだと思います。そういう必死さがグルーブ感を生み出しているという一面もあるのかなと」(山本氏)

メンバーの中には、ゲームが好きで普段からプレーする人も多い。また、普通の楽譜には「Allegro」(速く)、「Cantabile」(歌うように)などの演奏指示が記されている。それに対しJAGMOの編曲譜では、「ヒロインと出会うところ」などとゲーム内の場面説明が書き込まれており、シーンを理解したうえで、どのように演奏すべきかがわかるようになっているそうだ。

観客はクラシックコンサート未経験者が大半

2015~2016年にわたって行われたコンサートでは、3公演ともほぼ満員。開演前のロビーコンサートも大人気だ(写真提供:カヤック)

では、こうしたJAGMOの取り組みを観客はどのように受け止めているのだろうか。たとえば2015~2016年にわたって行われたコンサートでは、3公演で5000人、多いときは5400人を集めている。ホールの定員が1500~2000人なので、3公演ともほぼ満員ということになる。

「ゲームのストーリーに沿って、音楽をメドレーにして演奏するのですが、感動の場面では涙されるお客様も多いです」(山本氏)

客層は男女が半々で、20~30代の若者が多いが、子どもとその親と世代は幅広い。クラシックのコンサートに行ったことがないという人が大半で、ドレスコードについての問い合わせも多いようだ。

「カップルも多いですし、親子で来てくださる方もいらっしゃいます。編曲の仕方なども、よほど好きな人でないと気づかないようなところをシビアに指摘されることもあります。コアなゲームファンでなくとも、自分の好きなゲームに対してはそれぞれ思い入れが強いのですね。企画者としてはうれしいですし、もっといいものを目指そうと思います」(山本氏)

チケット料金は演奏会によっても異なるが、約6000~8000円台とすることが多い。そのほか、パトロネージュという年会員も募集しており、年会費1万0800円、5400円の2種類が設定されている。会員数は合わせて700人ほどで、こちらはコンサートのボリュームゾーンより少し上の、30~40代が多いようだ。もっとも、優先予約ができるほか、チケット割引で年に2回行けば元が取れる料金設定、物販グッズのプレゼント特典などお得感が強い。

「プロオケのパトロネージュプログラムは、どちらかというと“芸術のパトロン”の意味合いが強く、会員の優遇度合いが低いところが多いです。JAGMOの場合はファンを大切にしたいという意図があるので、タレントのファンクラブに近いですね」(山本氏)

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