早稲田直系の付属校は「山」で秀才を育てる 東京ドーム約15個分の校地全体が生きた教材

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学院長自らが教壇に立つ(写真:筆者撮影)

地元出身の学院長が案内する地元の歴史と文化

まずは吉田茂学院長自らが教壇に立つ「本庄市周辺の文学」の教室へ。

「昨日はお疲れ様でした。疲れはとれました?」

前日の放課後、生徒たちはこの授業の一環として近隣にある「塙保己一記念館」と「本庄市立歴史民俗資料館」を訪問した。塙保己一とは、江戸時代に国文学の大書『群書類従』をまとめた盲目の国学者。現在の本庄市出身である。

前日に撮影した写真をプロジェクターに映しながら問う。

「私の中ではこのポスターが印象に残っていました。○○くん、読める?」

「全村をあげて松根(しょうこん)赤だすき……」

ポスターには「松根油緊急増産運動」とも書かれている。

「松根って松の根っこだよね。誰か聞いてましたか、館長の説明を? 松根を何に使うの?」

「油?」

「油だよね。その油を何に使うの?」

「飛行機とかの燃料に……」

「そう。飛行機の燃料に使っていた。いつ?」

「戦争中……」

「戦争中だよね。石油の輸入ができなくなって、どうしようかと考えた結果、皆さんが生活している大久保山にある赤松の根っこをみんなで掘って、精製して、飛行機の燃料にしたんだ。もともとこの辺りの松林は埼玉県でも3大美林として有名でした。私も幼いころに祖母からよく聞きましたけれど、このポスターを見て、本当にそんなことがあったんだなあということを感じました」

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