「aiwa」の復活はノスタルジーだけじゃない 松竹梅でいえば「竹」路線でヒットを狙う!

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ただ、この量を追う戦略は1990年代末ごろから破綻し始める。

さらなる低価格で攻める中国メーカーの台頭や、AV機器のデジタル化対応の遅れなどから販売が伸び悩み、業績は悪化。2002年末にはソニーに吸収合併された。その後もソニーの1部門として存続していたが、ソニー内でのブランドのすみ分けが難航し、2008年に「アイワ」ブランドの製品はすべて生産を終了。その後9年にわたってブランドは眠りにつくことになった。

そこに目をつけたのが十和田オーディオだ。主力のEMS事業は中国の巨大EMSとの価格競争が激しく、需要の波も大きい。そこで自社ブランド製品の製造販売を模索していたところ、ソニーで休眠状態になっている「アイワ」ブランドを活用する案が浮上したのだ。

2020年には売上高100億円を目指す

新生アイワの社長を務める三井知則氏。かつてのアイワの路線を受け継ぎ、ブランド再興を目指す(記者撮影)

十和田オーディオにとってソニーはEMS事業の主要顧客で長年の付き合いがあった。そのため、2016年夏ごろに商標権の取得を持ちかけ、今年に入り話がまとまったという。

新生アイワ株式会社は今年4月に設立されたばかりだが、今後は「2020年には売上高100億円を目指す」(三井知則アイワ社長)と意欲的だ。

商品ラインナップに関しては、従来のアイワの路線を受け継ぐようだ。三井社長は「松竹梅で言うと竹。価格だけで勝負するつもりはない。最高級ではないが、安心して買ってもらえるAV機器ブランドを目指す」と語る.

秋口に発売予定のテレビは24インチから55インチまでの5サイズで展開し、40インチ以上の大型モデルは4K液晶を搭載。価格は55型4Kテレビで14万円前後を想定している。日本のナショナルブランド品の中ではやや安い設定で市場開拓を目指す。

30代以上の消費者には懐かしく映るブランド「アイワ」。ただ、休眠していた間にAV機器市場が大きく変化したのも事実だ。ソニーやパナソニックなどオーディオメーカーがこぞって高価格帯にシフトする中で、アイワは活路を見いだせるのか。再挑戦は始まったばかりだ。

田嶌 ななみ 東洋経済 記者

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たじま ななみ / Nanami Tajima

2013年、東洋経済入社。食品業界・電機業界の担当記者を経て、2017年10月より東洋経済オンライン編集部所属。

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