大会、天候によってレースの難易度が変わるものの、フルを5時間ほどで走る能力があれば、100kmの「完走」は十分に可能だ。100kmレースの場合、制限時間は「14時間」というのが一般的。フル5時間はキロ7分07秒ペースだが、それよりも1km当たり1分以上遅くても、完走できる“計算”になる。ウルトラは、「速さ」よりも、自分の体をコントロールして、いかにレースをうまく進めるかという「マネジメント力」が必要になってくる。そう、24時間テレビのマラソンのように“ちょうどいい時間”に武道館へ帰ってくる能力もマネジメント力だ。
知られざるウルトラの常識とその魅力
フル経験者でも、ウルトラの“常識”に驚かされるだろう。まずはスタート時間。100kmの場合、朝4~5時となる。暗闇のなかを走るため、ヘッドライトをつけているランナーも少なくない。交通規制をしていないことがほとんどなので、歩道を走り、信号では止まることもある。
そして、フルと比べて、高低差のあるレースが多い。たとえば、丹後ウルトラ100kmマラソンは標高150mほどの峠を3回、同400m超えの碇高原牧場を上って下る。街中でのレースが難しいという理由が大きいが、フルのようにタイムを気にしているランナーが少ないこともあり、高低差のあるコースのほうがチャレンジ精神をかき立てられるようだ。
フルとの違いでいうと、「給食」もかなり重要になってくる。フルはスポーツドリンクだけでもゴールにたどり着くかもしれないが、ウルトラではそうはいかない。エイドステーションではおにぎり、うどん、カステラ、果物などが提供され、さらにランナー自身もエナジージェルなどを携帯している場合がほとんど。ゴールまでエネルギーが切れないように、レース序盤から小まめに捕食していくことになる。
それから「ウエア」の選択もポイントだ。ウルトラではレース後半にランナーの荷物を預かってくれるエイドステーションがある。気象条件、体調に合わせて、ウエアもうまくコーディネートしていく。空調の効いている部屋で読んでいるとピンと来ないかもしれないが、レース終盤のウエアが天国と地獄を分ける可能性があるのだ。ウルトラはフルと比べて温度差が大きい。日中はTシャツ姿で快適だったとしても、夕方になると冷え込んでくる場合があるからだ。
またウルトラでは「ウォーク」や「休憩」がレース攻略のカギとなる。たとえば100kmレースを50kmまでキロ7分、次の30kmをキロ8分、ゴールまでの20kmをキロ9分のペースで進むと、12時間50分という計算になる。着替えの時間10分を加えて、ジャスト13時間だ。かといって、そのペースで実際に走るのではなく、急勾配の上り坂や給水・給食中はウォークで進む場合もあるし、レース後半では休憩時間も多くなる。それを加味したうえでのペースになる。
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