同党は明確に「イタリアのユーロ離脱と、それに向けた国民投票の実施」を政策に掲げているが、ほかにも「北部同盟」や「イタリアの同胞」など、ユーロ離脱を唱える野党を合わせれば獲得議席数は過半数に届くのではないかとの見方もある。好調な景気とは裏腹に、こうした材料はユーロにとって波乱要因になりうるため、イタリアの政治動向次第では、一時的にユーロが下落する局面はあるだろう。
FRB(米連邦準備制度理事会)は年内にもバランスシートの縮小に踏み切る方針を示している。おそらく来年2月のイエレン議長任期満了を控え、それまでに緩和からの出口戦略の道筋をつけたいのだろう。9月にもバランスシート縮小が開始されれば、米長期金利の緩やかな上昇が促され、足元で縮小傾向にあるドイツと米国の長期金利差(10年債でマイナス1.86ポイント)は再び拡大する公算が大きい。ユーロドルはこれまでもドイツと米国の長期金利差に忠実に連動しており、そうなればユーロドルには下向きの圧力となりそうだ。
ユーロは堅調、だが対ドルでは綱引き続く
ECBはギリシャやイタリア、スペインなどの経済にダメージを及ぼすと考えられる急激な通貨高や、インフレの低迷に配慮しながら、量的緩和の縮小を慎重に決定すると思われるため、ECBは12月の理事会で量的緩和縮小を決定、来年1月から開始すると筆者は予想している。景気回復とECBの出口戦略への期待からユーロ高圧力は続くと見ているが、イタリアなどの政治リスクに備える動きや、FRBが先行して出口戦略を開始していることなどから、ドル高圧力もかかりやすい。
年内はユーロ高とドル高の綱引きとなり、ユーロドルは底堅いながら、しばらく行ったり来たりを繰り返し一段の明確な上昇トレンドは出にくいだろう。ユーロドルが前述したトレンドラインの上限を突破し、1.20の大台を目指すのは、少なくとも2018年末以降で、米国の景気拡大がそろそろ終わりに近づく頃になると見ている。一方、欧米の出口戦略から取り残される円はドル、ユーロに対して弱くなるため、ユーロは対円では当面堅調地合いが続こう。
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