「年末113円からドル高円安が本格化する」 シティグループ証券の高島修氏に聞く
――今後のドル円相場の見通しは。
基本的にはドル円相場は1ドル=108円前後でボトムアウトしていると考える。ここから向こう半年近くはドラマチックな展開は予想していない。5円くらいのレンジで凪(なぎ)の相場が続くだろう。その後、今年の10~12月の時点で上昇基調に復帰して、来年にドルの高値をつけに行くというイメージで見ている。
2016年の11月にトランプ氏が大統領選に勝利し、年末にドル円は118円をつけていったんピークアウトした。トランポノミクスは実行に移されているわけではなく、期待先行のドル高・株高が起こったと考える。現在は期待によるドル円上昇がいったん調整局面にはいっている。
108円をボトムとみている理由は、経験則からドル円は1回天井をつけると10円くらい下がるからだ。さらに、私は金融政策と国際収支にかかわる5つの経済指標から推計したモデルを使っているが、それによれば、フェアバリューは107円となっている。
当面は凪の相場、年末からドル高が進展
国際収支は1年遅れてドル円に影響し始める。今のドル円に影響を及ぼしているのは昨年の国際収支であり、昨年の国際収支は原油価格の下落を反映して黒字が続き、円高圧力になってきた。しかし、この1年ぐらい原油価格は上昇しており、国際収支黒字もピークアウトしたようである。今年の年末からその効果がドル高円安方向に働くと見ている。
また、期待先行のドル高・株高のトランプ相場がいったん剥げて調整に入ったが、年末以降はトランプ政権の経済政策が実弾を伴って出てくる段階に入っていく。その一方で、FRB(米国連邦準備制度理事会)も9月に膨らんだバランスシートの縮小に着手、利上げは何回かスキップするとしても、金融政策の正常化が進む。ここからドル高円安に転換していくだろう。
年末時点は1ドル=113円くらいと考えている。最終的には昨年つけた118円を突破して120円を超える高値をつけにいくと思うが、来年になる。
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