「年末113円からドル高円安が本格化する」 シティグループ証券の高島修氏に聞く

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高島修(たかしま・おさむ)/シティグループ証券チーフFXストラテジスト。1992年早稲田大学政治経済学部政治学科卒業、三菱銀行(現三菱東京UFJ銀行)入行。1999年から為替資金部で欧州担当、米国担当アナリスト、通貨オプションセールスを歴任。2004年チーフアナリスト。2010年3月にシティバンク銀行へ移籍。2013年5月末からシティグループ証券に所属が移る。機関投資家から高い評価を受けている。(撮影:尾形文繁)

――6月14日のFOMCで発表された利上げとバランスシート縮小計画をどう評価していますか。

FRBの発表は思っていたよりも強気だった。

日米のマネタリーベース倍率からみたモデルの推計に基づけば、FRBが資産500億ドルを削減すると年5円くらいのドル高円安効果がある。国際収支による円高圧力に打ち消されて表面化していないが、日銀による60兆円の買い入れも、年3円くらいの円安効果がある。

年末に国際収支の打ち消し効果がなくなれば合計で、年8円ほどのドル高円安効果が現れてくる。年間8円というのは0.25%の利上げの12回分に当たる効果だ。モデルと現実は異なるためそのままの効果にはならないが、要するに大きなインパクトだということだ。

「利上げよりバランスシート縮小」の理由は中国だ!

今回の決定の背景は、1つ目は来年イエレン議長とフィッシャー副議長の任期が切れるので、バランスシート縮小を軌道に乗せておきたいという意図がある。2つ目に、本音かどうかは別にして、バランスシート縮小の影響は利上げほどの影響はないと言っている。これは逆に、利上げはそれほどやらないということを読み取ってよね、という市場へのメッセージが潜んでいる。シティグループのハウスビューは12月に利上げするというものだが、年内の追加利上げのハードルは予想以上に高いかもしれない。

もうひとつの大きな要因は中国だ。中国は、昨年は、米国の利上げにより、ドル高元安になると、元買いドル売り介入をしてきた。しかし、外貨準備が減ったことを気にして、今年からは介入を減らし、金融引き締めを行う方式に通貨防衛策を変更している。その結果、中国の短期金利はこの数カ月で大きく上昇した。この引き締めの影響で中国の成長に対する不安も出てきており、資源への投機活動が弱まり、資源輸入は減り、結果的に原油などのコモディティマーケットは冴えない状況になっている。

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