「大惨事」もありえる米議会のヤバすぎる状況

大事な夏休みも短縮する勢い

見逃せないのは、オバマケア代替法案も予算決議も、最終的には上下両院の合意が必要になることだ。どちらか一方で審議が終わったとしても、それで一件落着というわけではない。最終決着までには、まだまだ越えなくてはならない山がある。

順番待ちだけではない。歳出法案や債務上限の引き上げでは、民主党との意見調整に向けた戦略が定まっていない点も、大きな障害である。どこまで「小さな政府」の主張を強調すべきなのか、共和党の立ち位置は定まっていない。

共和党内でさえコンセンサス難しい

伝統的に共和党は、歳出削減などを通じて「小さな政府」を進めようとする傾向が強い。来年度の歳出法案については、国防費だけは増額を認めつつ、それ以外の分野では大幅な歳出削減が模索されている。債務上限の引き上げについても、引き上げに見合った規模の歳出削減などを義務づけようとする議員が少なくない。

問題は、こうした「小さな政府」の路線には、民主党の強硬な反対が予想される点にある。民主党からの賛成が得られる見込みがないかぎり、共和党の提案は絵に描いた餅にすぎない。議会の多数党とはいえ、共和党は単独ですべての法案を成立させられるだけの議席は持っていない。

定員100人の上院では、多くの法案の審議において、60票の賛成がなければ、少数派による議事進行妨害を阻止できない。共和党の現有議席は52であり、民主党による議事進行妨害を止める力はない。

かといって、安易に民主党に歩み寄ろうとすれば、今度は共和党内がまとまらなくなる。それでなくても共和党内には、歳出削減の度合いに対する意見に温度差がある。同じ「小さな政府」といっても、社会保障関連の予算まで大きく削ろうとする保守派の議員と、弱者対策などは維持したい穏健派の議員まで、党内の意見には幅がある。

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