「大惨事」もありえる米議会のヤバすぎる状況 大事な夏休みも短縮する勢い
債務上限の引き上げが必要となる時期は、毎月の歳出入の動向に左右される。議会予算局(CBO)の見通しによれば、遅くとも10月中旬までには引き上げが必要になりそうだ。米国では、発行できる国債の残高に、法律で上限が定められている。残高が上限を超えた場合には、新たな国債は発行できない。そうなれば、政府による各種の支払いや、国債の利払いなどにも不都合を来しかねない。いわゆるデフォルトの発生だ。
そこまでの事態に至らなかったとしても、上限引き上げの見通しが立たず、デフォルトが懸念されるような展開になっただけで、悪い影響は発生しうる。2011年夏に米国が債務上限の引き上げに手間取った際には、米国債が格下げの対象となり、市場が混乱する一因となった。
すぐに審議に入れるわけではない
共和党にとって悩ましいのは、すでに議会には審議が停滞している案件が存在することだ。急いで議論を進めようにも、歳出法案の審議や債務上限の引き上げは、順番待ちの列に並ばなければならない。
上院では、オバマケア代替法案の審議が長引いている。6月中に予定されていた本会議での投票は、共和党内での票の取りまとめが進まないまま、7月にずれ込んでいる。オバマケアの改廃は、トランプ政権と議会共和党が年初から取り組んできた課題である。公約は後回しといっても、すでに相当の時間を費やしてきてしまっただけに、成功するにせよ、失敗するにせよ、その命運が定かにならないうちは、議会としても次の課題には移りがたい。
一方の下院は、予算決議の作成に手間取っている。予算決議は、来年度予算の大枠を決める文書である。そこでは、来年度の歳出総額や、税制・社会保障制度改革の大枠などが決められる。通常であれば、4月中旬までには上下両院で合意されるべきだが、今年は、議論が先行している下院ですら、共和党内の話し合いが7月まで長引いた。当然のことながら、予算決議が決まらず、予算の大枠に合意がない状況では、具体的な歳出法案の審議を進めるのは容易ではない。
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