「大惨事」もありえる米議会のヤバすぎる状況 大事な夏休みも短縮する勢い

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秋にはさまざまな「締め切り」を迎える米議会。このままでは間に合いそうにない(写真: Joshua Roberts/ロイター)

首都ワシントンに、不穏な雰囲気が漂い始めた。

「夏季休会の短縮を検討していただきたい」

米上院院内総務のミッチ・マコーネル上院議員に、そんな趣旨の書簡が届けられた。書簡に署名したのは、10人の共和党上院議員である。

「異例の提案」のワケ

議員が自ら休みを返上するのは珍しい。マコーネル議員のような議会の指導部が、議事進行の都合で議員に休みの返上を強いることはあっても、逆の展開はまれである。特に夏の休会は、議員が地元での政治活動に腰を据えて取り組める貴重な機会である。今年の場合は、7月31日から9月4日までが休会の予定とされてきた。来年秋に投票が行われる議会の中間選挙を前に、是が非でも地元に密着したいのが、多くの議員の本音のはずである。

異例の提案は、ワシントンに広がりつつある焦燥感の表れだ。米国の議会には、対応しなければならない課題が積み上がり始めている。これから秋までの間には、歳出法案の審議や債務上限の引き上げといった重い課題をこなす必要がある。これらに米国が失敗すれば、政府機関の閉鎖や、米国の債務不履行(デフォルト)といった混乱が生じかねない。

共和党にとって、混乱の発生は致命的だ。何しろ共和党は、大統領と上下両院の多数党を押えている。混乱の責任を転嫁できる相手はいない。共和党が多数党の責任を果たせなければ、来年の中間選挙に悪影響が及ぶのは必至である。

どうやら米国は、いまだ議論が本格化していない大型減税などの公約実現を考えるよりも、「締め切りのある課題」を優先しなければいけない時間帯に入ってきたようだ。歳出法案の審議や債務上限の引き上げは、いずれも今年の秋が締め切りとなる。大型減税などの公約は、特定の期日までに実現できなかったからといって、大きな混乱が起きるわけではない。

来年度の歳出法案の審議は、9月末が締め切りとなる。10月から始まる新年度に間に合わなければ、予算が工面できなかった政府機関は閉鎖される。政府機関の閉鎖に発展すれば、2013年10月以来の異常事態となる。

次ページすぐに審議に入りたいところだが…
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