結婚5年目「妻に餌はやらぬ」夫へのジレンマ 結婚生活は男女の「すれ違い」が出発点だ

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問題は、いまの生活の中に「切り取る部分」さえないことです。その内容は、あかりんさん曰(いわ)く靴やアクセサリーのプレゼント、あるいは、すてきなレストランでの食事となっています。付き合ってから8年、結婚してから5年経って、恋人になったばかりの頃には自ら進んでしてくれたことを、すっかり夫がやらなくなってしまったことに不満を抱いている。

つまり、あかりんさんは、共働きで金銭的に「平等な関係」であることには納得しつつも、夫に「女性として尊重されること」を望んでいるのだと考えられます。

「結婚」は男にとってゴール、女はスタート

お見合い結婚が珍しくなった現代の日本では、ほとんどのカップルが恋愛を経て結婚します。よほどモテる特殊な男性でなければ、女性からのアプローチは期待できません。最初に行動するのは、必然的に男性です。その後も、「男性はリードする側 / 女性はリードされる側」という関係を軸に、恋愛は展開します。

アプローチが功を奏し、デートの約束を取り付けた男性は、自分に可能な範囲で最高のデートプランを考えます。また会ってもらうためには、これ以外に方法がないからです。ただ、幸いにして2回目のデートが実現しても、1回目よりは見劣りするものにならざるをえません。2回目より3回目、3回目よりも4回目と、徐々にデートの「特別感」は薄れてきます。

これは男性の努力が不足しているせいではありません。東京ですら、デートスポットは限られています。1回目は東京ミッドタウンのおしゃれなレストランで夜景を見ながら食事をしたとします。2回目はどうするか。東京ディズニーランドあたりが無難でしょう。すでに、東京を離れて千葉です。3回目は、横浜をぶらぶらして、中華街や赤レンガ倉庫を巡ります。今度は神奈川です。

4回目でまた東京ミッドタウンに戻るわけにはいきません。東京ディズニーランドだって、続けて行けば飽きてしまいます。赤レンガ倉庫なんてただの赤いレンガの倉庫なのですから、二度と訪れない可能性もあります。この時点ですでに、新宿、渋谷、そして、池袋あたりで映画でも観て、ファミレスで食事をする「普通のデート」ぐらいしか選択肢は残されていないのです。

男性の立場からすると、こうした努力のうえにさらに努力を重ねて、ようやく女性に受け入れてもらえるのがプロポーズです。その結果、男性にとって結婚はゴールになります。デートプランを練ったり、すてきなプレゼントをしたり、といった「男の役割」は、もう十分に果たしたはずだ、というのが夫の言い分です。

女性の視点に立てば、これだけよくしてくれるのだから、信頼してプロポーズを受け入れようと決意します。つまり、女性にとって結婚はスタートです。将来にわたって、恋人だったときと同じように、ずっと「女性として尊重されること」を期待します。片方がゴールしたと同時に、もう一方はスタートしているのですから、結婚生活はまさに夫婦のすれ違いが出発点です。

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