「えきねっとトクだ値」はエリアによっては相当安い。以前、筆者は小淵沢に行く用事の際、いつものように金券ショップでバラ売りの「あずさ回数券」を買った。新宿―小淵沢は正規料金だと5700円(指定席)のところ、「あずさ回数券」も6枚つづりで2万3760円、1枚当たりなら3960円になる。そのとき、金券ショップで買った価格は3900円だった。ところが、「えきねっとトクだ値」では35%割引が適用され、通常期は3700円で行けるのだ。往復400円の差は大きい。これに気づいたときは相当ショックを受けたが、気を取り直し、考え方を修正した。先にも述べたように格安チケットの利点は時間に縛られないことにある。旅行や用事で移動する際、到着したい時間はだいたい決まっているが、帰りの予定が見えないことは多い。乗る列車や便が決められる往路だけは早割や会員割引で事前に予約し、復路は格安チケットを使ってその日の都合に合わせ自由な時間に戻るとするとすれば、どちらも有効に使えるだろう。
神戸フライト経由大阪は安いのか
考え方を変えて、という例をもうひとつ。JRの話をしてきたが、運賃面で考えると飛行機のほうが値付けの幅が大きい。先に大阪行きの例を書いたが、片道1万円を切る割引はJRにはないが、LCCが使える路線なら格安で移動ができる。
関東のどこに住んでいるのかにもよるが、関空までピーチを利用するとして、成田までの行程を考えると時間と料金の両面で悩ましいところだ。それが、あるとき「羽田から神戸空港までスカイマークで行って、大阪に向かうとJRより安い」と言われて、そういう手もあったかと実証してみた。神戸空港から三宮に出て、そこで電車に乗り換えて大阪行きというルートだ。
回数券を使い、東京駅から新大阪駅まで新幹線、さらにJR大阪駅まで行くと片道1万2940円(今回調査の格安チケットの平均価格)となる。一方、羽田から神戸空港までスカイマークで行き、そこからポートライナーで三宮へ、その後JRに乗り換え大阪まで行くと、まず鉄路だけでは合計740円(三宮から阪急線を使えば650円)かかる。スカイマークの価格は時間帯により変動するので、計算上は1万2200円より安い便を選べば飛行機に軍配が上がることになる。
ちなみに羽田から神戸空港までは約1時間15分のフライト、神戸空港から大阪(梅田)まで1時間弱。空港での手続き等の時間を1時間とすれば新幹線での移動時間と大差はないことになる。実際に試してみたときは、海上を走るポートライナーはなかなか楽しかったし、どちらにしろ三宮で乗り換えるので、ついでに神戸観光を楽しむという使い方もできるだろう。なお、これとは別に東京駅までの交通費や羽田空港までの交通費もかかるので、併せて損得計算をしてほしい。
神戸まで行かずとも、本家の伊丹空港という手もある。お盆などの繁忙期でも使えるANAとJALの株主優待券も金券ショップで買えるが、株主優待だと運賃が半額になるのに、近場の伊丹便に使うのは少しもったいない気がする。あとは、早割が利用できて、片道1万2200円くらいで行ければベターだ。
伊丹空港を使うなら、ついでに「羽田京急きっぷ」〔京急線品川(泉岳寺)・横浜駅から羽田空港国内線ターミナル駅までと、到着地の空港から都市への空港連絡バスの切符がセットになった割引切符〕をぜひ利用しよう。品川から羽田空港まで京急線、伊丹空港から大阪市内までリムジンバスを利用するなら、通常運賃と比べて往復で400円のトクになる。浮いたおカネで、帰りの空港で生ビール1杯くらいは飲めるかもしれない。
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