一方で、料理のほうはコース料理を頼んでおきたい。そもそも個室を頼む際は、コース料理を予約することが条件という店が多い。ある程度の高級店であれば、懐石コースやディナーコースなどの、接待や食事会向けのコースが用意されている。料理も時間配分を考えて、オードブルからメイン料理、デザートと、順番に出してくる。アラカルトで頼むよりは効率的だし、注文の手間も省けるため、じっくりと話に集中できる。
岩下さんは、「クライアントの取引先にも注意を払うべき」だとアドバイスする。「たとえば、ある金融系企業では、昔ビール会社に苦境を救ってもらった縁から、絶対にそのメーカーのビールしか飲まないという不文律があります」。そのことを知らずに、別のメーカーのビールを出すと、「気が利かない」と思われてしまう。
昔よりこだわる人は少なくなったが、「同じ財閥系のビールを飲む」というのもある。三菱系ならキリン、住友系ならアサヒという具合だ。店のほうもそうしたことに配慮して、複数の銘柄のビールを用意していることがある。まずは、メーカーに決まりがあるか、クライアントの担当者らにリサーチをし、店にも指定のビールを出せるか確認しておきたい。
口コミ頼みではなく、必ず下見を
店を探すときには、飲食店情報サイトを参考にしてもいいが、口コミを読んだだけでは、その店の本当の姿はわからない。必ず下見をしておこう。夜の雰囲気を見ておくに越したことはないが、時間がなければ、ランチ時に伺うのでもよい。できれば味見もすること。
よさそうだと判断したら、お店の人に「今度、接待で利用したい」とその場で相談してしまおう。そうすれば、その場で細かいことも聞けるし、料理の中身などについて簡単な打ち合わせもできる。もちろん、接待などで行ったことのある店があれば、その店を選ぶのもよいだろう。
その場の流れによっては、2次会に行くこともある。しかし、そのとき、店がなかなか押さえられず、外で待たせるのは避けたいところだ。一方で、2次会があるかどうかわからない中で、事前に店を予約することは難しいだろう。
そこで、まず近隣で2次会に向いている店を数軒ピックアップしておき、2次会に流れるようであれば、すぐに電話をしてお店の空き状況を確認する。フットワークが要求される場面だが、事前の準備で乗り切りたい。
接待・会食のとき、上司から、お土産の用意を指示されることがある。これは、「家族だんらんの時間を奪ってしまって申し訳ございません」という意味を込めて、クライアントのご家族のためにお渡しするものだ。用意するかどうかは、職場の慣例に合わせればいいが、不安なら、用意しておいたほうが無難だ。
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