「接待の直前に聞くだけでなく、日頃から雑談のなかで好き嫌いを探っておくとよい」と話すのは、『図解 社会人の基本マナー大全』をはじめ、マナーに関する多数の著書を持つ、現代礼法研究所主宰の岩下宣子さんだ。事前の情報が多ければ多いほど、相手が喜ぶ店を選びやすくなる。
また、医療関連会社の営業をしているAさんの場合は、「和洋中で3店ほど見繕っておき、相手に選んでもらう」そうだ。何度も会食をしているような気心の知れた相手なら、こういうやり方も新鮮でアリだろう。
店のよさも大事だが、同じくらい重要なのは「立地」。忙しい相手をお招きするのだから、相手の会社から遠い場所は避けたほうがいい。また、自宅から遠い場所だと、酒が入った状態で帰るのはしんどいし、終電に間に合わない(タクシーを手配するなら話は別だが)こともある。そうならないよう、お招きする相手の自宅の方向か最寄り駅を、事前に聞いておこう。相手が複数いる場合は、最も役職が上の人に合わせるのが基本だ。
お店の場所の案内にも気を使いたい。裏路地にあるようなわかりにくい店は迷ってしまうリスクがあるからだ。それを避けるならホテルなどの施設内の店が無難だが、あえて場所がわかりにくい店を選ぶなら、待ち合わせてからご案内したほうが親切だ。
足を崩せない女性のために、和室なら掘りごたつ
接待・会食の目的は、単においしいものを食べることではなく、相手とコミュニケーションをとり、関係を深めること。そう考えると、他人に話を聞かれる心配がなく、ざっくばらんにストレスなく会話ができる、静かな個室を選ぶことがベストだ。
「ただし、個室だとしても、和室の場合は、テーブルの下が掘りごたつ状になった部屋を選んだほうがよい」と岩下さん。掘りごたつ状でないと、女性は会食の最中、正座のまま足を崩せないからだ。また、腰やひざが悪い人にとってはかなりの負担になる。そうしたことも頭に入れて場所選びをするようにしたい。
接待・会食といっても、会社の経費で出す場合、ほとんどの職場では予算が決まっているはずだ。予算の範囲内で抑えるなら、定額で収まる「飲み放題」コースを選びたくなるだろう。しかし、それはやめたほうがいい。相手に気兼ねなく好きなものを飲んでもらえなくなるからだ。また、制限時間が来たときに「そろそろ飲み放題終了です」などと言われると、場が白けてしまう。
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