GDPギャップと物価のつながりはどの程度か GDPギャップのわずかな違いには意味がない

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日本の消費者物価指数の上昇率とGDPギャップの動きを長期にわたって比べてみると、GDPギャップがプラスとなるのに少し遅れて物価上昇率が高まっており、一見、日本経済全体の需給の逼迫度が消費者物価指数の上昇率に大きく影響しているように思える。

しかし、1989年度には3%の消費税が導入され、1997年度には消費税率は5%へと2%ポイント分の引き上げが、2014年度には8%へと3%ポイント分の税率の引き上げが行われている。この3回のケースについては、需給ギャップがプラスとなったことで消費者物価の上昇率が高まったというよりは、消費税率の引き上げを見越した駆け込み需要が先行して発生したため、GDPギャップが改善し、その後実際に消費税率が上がったことで物価上昇率が高まったので、このような関係が見えたというべきだろう。

3回の消費税率引き上げのケースを除いてしまうと、過去30年以上を見てもGDPギャップの動きと物価上昇率の連動が見えるのは、2007~2008年度にかけてくらいのものだ。この時期は、米国の住宅バブルの影響で原油価格(WTI先物・期近物)が1バレル=60ドル程度から一時は150ドル近くにまで上昇している。需給ギャップがプラスとなったという日本国内の要因だけでなく、海外の原油高の影響が国内物価に波及したという要因も加わっているのだ。

GDPギャップの推計には誤差がある

これまでのGDPギャップと消費者物価指数の上昇率の動きからは、金融緩和や財政刺激によって需要を刺激しGDPギャップを改善することで2%の物価上昇を実現するためには、かなり大きなGDPギャップのプラスを作り出す必要があるように見える。

黒田総裁は記者会見で、「わが国において、潜在成長率を上回る経済成長が続き、需給ギャップが改善している割には、物価上昇率がなかなか高まらない……こうした傾向は、他の先進国でも多かれ少なかれ共通して見られる現象です」と述べている。

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