AI革命こそ「ポストスマホ」の最有力候補だ アマゾン、アップル、グーグルがこぞって参入

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AIは、研究自体は古くからなされているものだ。それがここ最近、実用へと大きく踏み出したのはなぜだろうか。理由の1つは、機械が自ら学習し、複数の処理を何層にも重ねることで、複雑な判断を可能にするディープラーニング(深層学習)という技術にある。

グーグルが5月より日本で提供を開始した「Googleアシスタント」。AIを活用し、前後の文脈を理解することで、対話しながら必要な情報を得られる(写真:グーグル)

もう1つはコンピューター自体の進化だ。ディープラーニングは学習するのに何層もの計算処理をこなす必要があるため、コンピューターの能力が高くなければ実現できない技術だった。だが近年、コンピューター自体の性能が高まったことで、ディープラーニングを活用したAIの開発が急発展。ビジネスに使える技術へと進化するに至ったといえよう。

AIが身近なサービスとなり、多くの人が利用できるようになったのにはクラウドの存在も大きい。いくらディープラーニングに対応したコンピューターが実現したとはいえ、その規模はパソコンなどと比べてはるかに大きい。

たとえば、ディープラーニングを活用し、囲碁で人間のプロに勝利したことで有名になったAI「AlphaGo」は、1000台以上のサーバーが用いられているともいわれている。一般人が容易に構築できるものではない。

だがそうした大規模のコンピューターパワーを、ネットワークを経由してクラウドとして展開すれば、多くの人にAIを活用したサービスが提供しやすくなる。コンピューターだけでなくネットワークの進化も、AIの実用化に大きく貢献しているわけだ。

データを握る者がAIの覇権を握る

スマートスピーカーやスマホの音声アシスタントには、各社が独自に開発した、クラウドを活用したAIの基盤が用いられている。アマゾンであれば「Alexa」、アップルであれば「Siri」、グーグルであれば「Googleアシスタント」といった具合だ。

このクラウドAIの基盤こそが、スマホにおけるOSに当たる存在となり、幅広いデバイスやアプリケーションに搭載されていくと考えられる。かつてスマホでOSをめぐる争いが起きたように、今後はクラウドAIをめぐる競争が起こる可能性が高い。

実際、アマゾンが先行していたスマートスピーカーの市場にグーグルやアップルが参入したり、ファーウェイやHTCなど、アンドロイド搭載スマホにアマゾンのAlexaが採用されたりするなど、互いの領域を侵食するケースが目立つ。クラウドAI同士の争いは、徐々に本格化しつつある。

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