競馬の「馬主」に富裕層以外が増えているワケ 社長でなくても「競走馬を持てる」仕組みとは

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現在、クラブ法人は21ある。有名どころの「サンデーレーシング」や「キャロットファーム」は、良血馬を扱うだけに大きなレースでの活躍馬も目立つ。今年のダービーを制したレイデオロは、キャロットファームの所有馬だし、一昨年のダービー馬ドゥラメンテはサンデーレーシングの馬だった。「社台レースホース」は、競走馬の生産牧場である「社台ファーム」の生産馬を主に扱う。今年のオークス馬ソウルスターリングは社台レースホースの所有馬だ。

「一口馬主」が人気を集める理由

一口馬主はなぜ、人気なのか。たとえば、ディープインパクト産駒(ディープインパクトの血を引く馬)の場合、1頭2億円を超える額で売買されることも珍しくない。それほど高額であれば、個人で馬主になるのは非常にハードルが高いが、何口かで分ければ所有も可能になるからだ。個人馬主になれない人たちも気軽に馬主になれる。優勝した時の記念撮影も人数に制限はあるが参加も可能だ。なかなか合理的な制度である。

馬主になるのはなかなか大変なことだ。それでも馬主の最大の魅力は自分の所有する馬が競馬に参加するということだろう。まずは無事にレースを走り、次第に条件を上げて大きな舞台へたどりつくこと。成長を見守り、頂点に立った時の喜びは計り知れない。そこに大きなロマンがある。そうした視点で競馬を見ると今までとは違った楽しみがあるかもしれない。

最近では、「POG(ペーパー・オーナー・ゲーム)」と呼ばれるゲームが盛んだ。「POG」のプレーヤーはデビュー前の2歳馬の「仮想馬主」となり、ダービーまでの獲得賞金を競うというのが一般的なルールだ。中央競馬のネットサービス「JRA‐VAN」でも開催されていて、仲間内で楽しんでいる人たちも多い。まずは、この辺りから気軽に馬主気分を味わってみるのもお勧めだ。

高橋 利明 福島民報 記者

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たかはし としあき / Toshiaki Takahashi

1965年生まれ。子どもの頃から地元の福島競馬場に通う。1989年に成蹊大学卒業。入社2年目の1990年に念願の福島民報社競馬担当記者へ。1993年から本紙予想を担当。福島テレビ、ラジオ福島の競馬中継にも出演。永遠のアイドルホースはハイセイコー。競馬の現場記者であり続けることが目標。
 

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