ブラック企業のトンデモな実態 放っておけない!若き弁護団が立ち上がったワケ
――ひどいパワハラも、ブラック企業の典型例と聞きます。
過重なノルマを課して、達成できなければ強い叱責によって精神的に追い詰めるケースがあります。上司からの叱責は時と場合によって、暴力になることもある。暴力は犯罪行為ですが、職場という密室の中で起きやすい現象でもあります。セクハラも同様です。立場が非対等な中で起きて、泣き寝入りする人が多い。到底こなせないような仕事を課されると、それが長時間労働やサービス残業につながっていくこともある。
ひどいのは、そんな職場環境に耐えられずに退職を願い出た労働者に対し、「今、辞めることで会社に損害を与えるので、高額な損害賠償を請求するぞ」と脅して辞めさせないケースです。辞めたくても辞められない。まれに会社が本気で辞める従業員を訴えることもあります。
最近の事例としては、卒業前の学生が職場体験がてら働くインターンで、ひどい目に遭った若者もいます。
学生アルバイトよりも安く“こき使う”
――どんな事例でしょうか。
その本人が翌年4月から採用されるということで、内定をもらった東京都内の某コンサルティング会社で問題は起こりました。正式採用の前に「インターンで来い」「日給も払う」と言われて行ったら、日給を払わずに雑用や掃除などを押し付けたそうです。そのうえ、社会経験のなさをとがめ、何かあるたびに上司から叱責され、あざができるような暴力も受けたと。どうにもならないので、辞めたいと申し出たら、授業料を請求されたり、作業中に壁を傷つけたことを理由に損害賠償で訴えると脅されたり、といった目に遭ったそうです。
そのコンサル会社は、彼以外にも内定を出した学生にインターンを受けさせ、何人もやめさせているようです。企業側からしてみると、教育を受けさせるという名目で、学生のアルバイトよりも人手を安く雇える。足元を見ているワケで、非常に卑劣な行為です。